副題は「経済学者の哀れな生活」。
帯には、「トマ・ピケティ絶賛」や「フランス経済学者の問題作」とあり、経済関連のノンフィクションと思いきや、これはれっきとしたフィクション、フランス人ならではのシニカルマインド満載の小説です。
113章という細かい章で構成されていますが、
章ごとに、ニューヨーク、ケープゴッド、ハノイ、ベナンと舞台が変わり、
章ごとに、主人公も変わり(しかも、主要登場人物のうち何人かは実在の著名人をモデルにしているとすぐわかります)、
章ごとに、現在から過去、過去から現在と時制が変わり、
章ごとに、いえ、ときには同じ章のなかで、現実から妄想、妄想からまた現実に変わる。
そして、読んでいると突然、えっ?というイラストも……
ブラックユーモアなどという言葉ではとても言い表せない「破天荒」さで、国連の欺瞞、開発援助の世界の欺瞞、人間の欲望を描きだします。
まさしく「常識はずれ」の一冊。
ぜひ、読んでみてください!
(P)