コロナ終息に向けて:各国レポート第二弾(24)マレーシア

malaysia

マレーシア(人口約約3,200万人)

橋本ひろみ

①新型コロナウイルス感染について、いまはどうなっていますか?

マレーシアでは、2020年6月10日から8月31日まで回復活動制限令(RMCO)が発令され、感染終息に向けて取り組んできましたが、まだ見通しが立たず、先日2020年12月31日まで延長するとの発表がありました。現在の感染者などの状況は以下のとおりです。

1.新規感染者: 14名
2.感染者合計:9354名
3.完治者合計:9075名(97.0%)
4.治療中患者: 151名(1.61%)(重症患者 5名 内呼吸器装着 3名)
5.死亡者計 :128名(1.4%)

現在の治療中患者数は151名で、そのうちICU室での治療が必要な患者数は5名(呼吸器使用3名)。数は安定していますが、第二波感染を抑え込むための対策として、公共の場所でのマスク着用、三密を避ける行動や手洗い、うがいの徹底などが求められています。

②国や自治体からの規制や制限はありますか?

7月の下旬にマレーシアのケダ州でクラスターが発生しました。これはインドから帰国した永住権を保持しているレストランのオーナーが、帰国後に義務づけられている自宅隔離を守らなかったために、従業員や顧客に広がったものです。現在でもその特定場所は封鎖や除菌活動が行われており、このクラスターは感染力が高いらしく、さらなる感染が懸念されています。また、マレーシアでは8月1日から公共の場所ではマスク着用が義務となり、違反者は1,000リンギット(日本円で約25,000円)の罰金が課されます。また自宅隔離やSOP(標準行動手順書)を守らない人も多くみられ、特に厳しく監視されるようになりました。

③外国への出国、外国からの入国についての制限はありますか?

基本的にマレーシア人の国外渡航は禁止されています。外国人によるマレーシア入国に関しては、政府の指定施設での14日間強制隔離を強いられますが、長期ビザ保有者などは入国許可を得られれば入国することができます。また、マレーシア政府は海外からの入国者からの陽性患者増加を非常に懸念しており、感染者数の多いインド、インドネシア、フィリピンからの入国に関しては一時的に停止されています。

④日常生活や街の様子など、とくに前回のレポート時から変わったことがあれば教えてください。

現在では一部を除き、経済活動や学校もほとんどが再開し、日常が戻ってきたように思いますが、マレーシア政府は各業界に対して発令したSOPを順守するよう、引き続き厳しく監視しています。多くの場所では、政府の〈My Sejahtera〉というアプリで登録し、入口で体温チェックを受け、消毒が行われます。37.5度以上の発熱があれば入場できません。少しでも体調不良や発熱があれば、企業や学校も休みととるように奨励する傾向があり、イベントや一部の業界などでも依然として人数制限や時間制限を行っているるものもあります。

⑤近況について、ご自由にお書きください。

現在、マレーシアでの感染状況は安定しており、政府の対応も評価されているようですが、クラスターなども確認されており、終息までにはまだまだ時間がかかりそうです。日常が少しずつ戻ってきてはいるものの、自宅勤務やオンライン授業を引き続き行なっている企業や学校も多く、まだ再開していないレストランや店なども多くみられます。収入の減少や人員削減などで職を失った人もいます。これから経済活動をどのように立て直していけるかが問題です。政府の政策も重要ですが、コロナの感染終息は国民一人ひとりが結束して努力していかなければならない課題なので、政府も国を挙げて国民全体の意識の向上を呼びかけています。生活面でも文化面でも、コロナと共存しながら最善の生活や新しい日常を模索する日々が続きそうです。

クアラルンプール市内の病院の入り口における登録と体温チェック設備

クアラルンプール市内の病院の入り口における登録と体温チェック設備


橋本ひろみ:マレーシア、クアラルンプール在住。翻訳者、日本語教師