おかげさまで、第2回書籍翻訳セミナーも好評のうちに終わりました。
日頃、翻訳者が出版社にぜひきいてみたいと思っている質問の数々。
早川書房の山口晶さんが2時間にわたり、本音で答えてくださいました。
そして、明日は第3回。
特別講師は、河出書房新社の編集者、田中優子さんです。
田中さんとは不思議なご縁を感じています。
というのも、
リベルが翻訳をした初めての作品はスペイン語の児童書でした。
私はその前から敏腕編集者として田中さんのお名前を知っていたので、スタッフが発掘してきたその作品のレジュメをお送りしたところ、とても興味を示してくださいました。
残念ながら、決まったのは河出さんではなく他の出版社でしたが、作品を評価するときの田中さんの視点がとても鋭く、別の作品でご一緒できたらなあと思いました。
その後、出版関係のイベント、海外のブックフェア、大使館の催しなどでなぜか田中さんにばったりお会いすることが多く、ひそかに私は「興味をもつポイントが田中さんと一緒なのかも……」などと思っておりました。
(あとから、田中さんは私より何倍もそういうところにいらっしゃる機会が多いからということがわかりましたが(笑))
そういうイベントつながりで、オーストラリアの絵本作家ショーンタンさんを紹介してくださったこともあります。
数年前のこと。
スペイン大使館商務部がスペインの本を日本に紹介する”New Spanish Books”というサイトを立ち上げ、私は第1回の(書籍)選考委員として呼ばれました。選考会場に赴いたところ、そこに田中さんの姿も!
私たち以外の委員は男性だったこともあり、二人でああでもないこうでもないと言いながら楽しく本を選び、発言も私たちが一番多かったような……。
そして昨年、ようやく田中さんと翻訳の仕事でご一緒することができました。
河出さんの書籍はこれまで何冊か翻訳しているのですが、田中さんからは初めての依頼で正直ドキドキでした。
それが、この本です。
ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソンの評伝です。ヤンソン生誕100周年の昨年、フィンランドで、この本をオフィシャルブックとして「トーベ・ヤンソン展」が開催され、日本でも同じ展覧会が昨年11月の横浜を皮切りに今年の9月まで全国を回っています。
フィンランド語の原書、でもトーベ・ヤンソンの母語はスウェーデン語。すでにヤンソン関係の作品はたくさん出版されている……など、他の作品より大変な部分もありました。
そんな私たちを引っ張ってくださった編集の手腕はいわずもがな、日々のやりとりのなかで一番感じたのは、田中さんの作品に対する深い思い、「本への情熱」でした。
明日のセミナーでもきっと、書籍編集者としての田中さんの一冊一冊にかける情熱が受講者のみなさんに伝わるのではないかと、今から楽しみです!
(Y)