女性そして多言語(第7回セミナー)

第6回セミナーは、文芸翻訳家の越前敏弥さんが主に「翻訳家の心得」についてお話くださいました。
とても深いご指摘が多く、我々スタッフ一同も思わず居住まいを正したくなりました。

さて、明日の第7回は、イタリア語翻訳家の関口英子さんと、スペイン語・英語翻訳家の宮崎真紀さんにご登場いただきます。

関口英子さんは、児童書、文芸、ノンフィクション、映画字幕と幅広くイタリア語翻訳を手がけていらっしゃいます。光文社古典新訳の訳書も何冊かおもちで、昨年11月には第一回須賀敦子翻訳賞を受賞されました。

月を見つけたチャウラ関口さんとは、リベル設立当時に知り合いました。
まだ会社の体もなしていない頃でしたが、多言語の翻訳者が集まった翻訳会社というコンセプトにとても興味をもってくださいました。
これまで弊社から直接翻訳を依頼はしていませんが、私が児童書を訳すときにアドバイスをいただいたり、最近ではイタリア語の翻訳者さんを紹介していただいたり、いろいろな場面でお世話になってきました。
訳書の素晴らしさはもとより、お人柄やお話しぶりから、一作一作を実に深く丁寧に翻訳されているのだろうなあといつも思います。私が尊敬する翻訳家さんのひとりです。

一方の宮崎真紀さんは、スペイン語・英語の翻訳家としてたくさんの訳書をお持ちです(アマゾンで検索しただけでも60~70点)。
弊社では、2005年に『海を飛ぶ夢』という映画の原作本の翻訳をお願いして以来、スペイン語の文芸、ミステリー、ノンフィクション、さらには英語の文芸、ノンフィクションなどを20点以上依頼してきました(いまも、緊急出版といえる大作をお願いしていて、睡眠不足の毎日なのではないかと思います……)

ネルーダ事件

歴史を背景とした重厚なミステリーなどを宮崎さんが訳されると、ゲラを読んでいても、思わず読者としてその世界に引き込まれ、夢中になります。そして、同じ翻訳者として「うまいなあ~」とうなってしまうことしきりです。

そんなお二人にセミナー講師をお願いした理由は、英語以外の書籍翻訳家の現状を知りたかったことと、もうひとつは、第一線でご活躍の「女性」翻訳家のお話をうかがいたかったからです。

弊社に登録している翻訳者も圧倒的に女性が多く、今回のセミナーの受講者も8割以上が女性です。

先日、翻訳関連のある記事の中で書かせていただきましたが、翻訳という仕事は性別・年齢・キャリアが問われず、出来上がった仕事のクオリティで評価されるというところがひとつの魅力です。
とはいえ、女性の場合、結婚・出産・子育てなどのために仕事を中断せざるをえない時期があったり、翻訳時間がなかなかとれずにせっかく依頼された仕事も断らなければならないといった状況になることも多いのではないでしょうか。
お二人からは、そうした制約の中でどのように仕事を続けていらしたのかといったお話も聞けるではないかと期待しています。

僭越ながら、同じく英語以外の翻訳者でもある私が司会を務めさせていただきます。
いろいろな言語の女性翻訳者たちの本音トークをお楽しみに!

(Y)