コロナ終息に向けて:各国レポート第二弾(11)チェコ共和国

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チェコ共和国(人口約1,069万人)

岡戸久美子

①新型コロナウイルス感染状況について、いまはどうなっていますか?

ここ1か月ほどの新規感染数は日々100~300件ほど(8月21日には過去最多となる505件)で、3月の感染拡大時期と同程度に増えてきていますが、そのうちの多くは症状が軽い、もしくは無症状で、病院で治療を受けている人の数は増えていない模様です。一部では「ウイルスが弱まってきているのでは」との意見もあるようです。

②国や自治体からの規制や制限はありますか?

重症患者が少ないとはいえ感染者の数は増えており、9月からの学校再開(コロナのせいではなく、チェコの新学期)によるさらなる感染拡大を懸念してか、8月半ばに政府は9月1日より再度室内でのマスク着用を義務化すると発表しました(現在はプラハ市内の地下鉄乗車時と100名を超える室内イベント時のみ着用義務)。ですが、施行前にすでに何度か指針が変更されており、実際どのような形で施行されることになるのかまだわかりません。

出入国制限については、7月以降かなり緩和されてきています。欧州近隣諸国や日本などは低感染危険国として指定され、PCR検査や隔離などの義務が免除されました。また逆にチェコ自体も欧州諸国から低感染危険国とみなされており、わりと自由に移動することができます。ただしすべての国というわけにはいかず、例えばチェコ人の休暇先として人気のギリシャでは8月半ばチェコからの入国に対する規制を強化し、72時間以内に受けた検査の結果が陰性であることを証明する必要があるとしたため、慌てて検査費用を一部負担することを決めたチェコの旅行会社もあったようです。

9月に入り立て続けに感染者が急増したことを受け、プラハ市内では9月9日からあらゆる店舗入店時のマスク着用義務およびレストラン等の深夜営業停止、14日からは学校施設に入る際のマスク着用義務(子どもたちとその親)が決まりました(ただし教室では外してよい)。また、お隣の国ドイツではプラハもしくはチェコ全土からの旅行者に対して5日間の隔離を求めることを検討中という話も出ています。

③国や自治体からどんな援助がありましたか? あるいはありますか?

休業補償:
私の知る範囲では、非常事態宣言等が原因で収入が減った個人事業主に対して補償金最大44,500コルナ(約22万円)支給、社会保険料および健康保険料の支払い半年間免除といった休業補償がありました。

自治体による布マスク配布:
私が住んでいた町では、市役所にカラフルな布マスクの入った段ボールが無造作に置かれており、ご自由にどうぞといった感じでした。これは自治体によって差がありそうです。

温泉・スパ施設クーポン:
国内観光を後押しする策として、チェコの温泉・スパ施設に6泊以上滞在し5つ以上のケアプログラム(マッサージなど)を受ける場合に使用できるクーポン最大4,000コルナ(2020年7月1日~12月31日の滞在に限る)というのがあり、これはちょっとチェコならではで面白いかも、と思っています。機会があれば使いたいです。

④日常生活や街の様子など、とくに前回のレポート時から変わったことがあれば教えてください

ロックダウンが終了し様々な規制が解除されたことで、街にはずいぶんと活気が戻ってきました。日常生活という面では、ほぼ通常に戻りつつあるように感じています。お店や公共機関、地下鉄などの入り口には消毒液が設置されており、多くの人が手を消毒してから入りますが、マスクをしている人はほとんど見かけなくなりました。(ただし着用が義務付けられているプラハの地下鉄では、みんなきちんとマスクをしています)

7・8月はホリデーシーズンで、行き先によって規制内容が違うので注意は必要ですが、感染にじゅうぶん気をつけながら旅行には出かける、というスタンスの人が多いです。

⑤近況について、ご自由にお書きください

日常生活が戻りつつあるとはいえ、コロナ発生前と比べ観光客は格段に減り、経営が立ち行かなくなったお店も少なくありません。伝統あるお店や劇場などが閉鎖されているのを見ると寂しい気持ちになりますし、私の周囲でも転職やビジネスの変更を余儀なくされた人びとがいます。実際、私も家族の転職にともない都市部に引っ越しました。しかしそんな困難も新たな人生のチャンスととらえ、希望を捨てず新しいことにチャレンジしていくチェコの人たちの姿が印象的です。まだまだ第二波の恐れや経済状況など不安要素もありますが、柔軟にとらえて前向きに進んでいかなければと思っています。

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岡戸久美子(おかど・くみこ):英語翻訳者・通訳者。チェコ共和国プラハ在住