コロナ終息に向けて:各国レポート第四弾(12)韓国

韓国(人口約5127万人)

小佐野百合香

①現在(執筆時)の新型コロナウイルスの感染状況について教えてください。

韓国では2021年の末ごろから新型コロナウイルスの感染対策規制を緩和する方向に政策が転換しました。それから感染者が急増しており、2022年1月末に新規感染者が1万人を超えてから毎日万単位で増加しています。2月の中旬には約10万人、3月の中旬には過去最高の約62万人が感染しました。現在も1日30万人〜40万人前後の新規感染者が出ていますが、次第に減少傾向となっています。

友人や教授など、身近なところでも感染者がどんどん増加しており、新型コロナウイルスの流行を肌で感じています。私自身も3月末に感染し、1週間の隔離生活を送りました。

②現在の生活のなかで、コロナウイルス関連で規制や制限されていること、義務付けられていること、支援されていることなどはありますか?

オミクロン株の重症化リスクが低いことと、ワクチン3回目の接取率が60%を超えていることから、飲食店の営業制限やソーシャルディスタンスも徐々に緩和されており、オフラインの授業を開始している大学も増えています。感染者は増え続けていますが、規制はどんどん緩和されているためでしょうか、観光地などに行くとあまりの人の多さにコロナ以前の風景を見ているかのようです。

規制緩和により人であふれているソウルの花見の名所

2022年5月10日から、進歩政党の文在寅氏に代わって保守政党の尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏が大統領に就任します。尹錫悦氏は飲食店やカフェの営業制限の全面解除など規制緩和を掲げているため、政権が変わってからは制限が強化される可能性は低いのではないかと思います。

③ワクチン接種については、どのような現状ですか?

韓国の3回目のワクチン接種率は現在(2022年3月26日)63.5%で、私の周りでもほとんどの人が3回目の接種を完了しています。早い人では4回目の通知が届いたという人もいますが、2回目の副反応が強く、3回目の接種を受けない人もいます。人によって副反応にかなり違いがあり、熱が出たという人もいれば、腕の痛みだけしかなかったという人もいました。私は3回目のワクチンを予約しようと思っていた時にコロナに感染してしまったため、次のワクチンをいつ受けるか悩んでいます。

治療センターで提供された薬

④近況や思い、今後の見通しなど、ご自由にお書きください。

急激な感染者の増加で、ソウルに住んでいる私も3月末にコロナに感染しました。くしゃみとのどの痛みを感じ、抗原検査キットで検査してみたところ陽性でした。そこで、ソウルの各所にある検査所でPCR検査を受け、大学の寮内にある臨時隔離施設に一時的に移りました。翌日陽性判定が出たため、ソウルの東大門区にある「生活治療センター」という隔離施設で1週間過ごすこととなりました。「自宅隔離が可能な人は、自宅で1週間隔離すること」が原則となっていますが、私が生活治療センターに入れたのは寮に住んでいるからだったようです。現在ソウルでは、ホテルや大学の寮の一部が隔離施設として利用されており、食事や薬、シャンプー、タオルなど生活に必要なものが全て無料で提供されます。海外でのコロナ感染で不安でしたが、外国人に対しても韓国人と同じ対応をしてもらえるのはとてもありがたかったです。

陽性の印が現れた抗原検査キット

4月からワクチン接種者(2回目の接種から180日以内に3回目接種完了が条件)は入国時の隔離が免除されることとなりました。規制の緩和に対して不安もありますが、夏には2年半ぶりに日本に帰国できるかもしれないと期待しています。


小佐野百合香(こさの・ゆりか):ソウル市立大学に在学中。韓国史学科4年生