不要な言葉(気になる翻訳表現 その1)

先ほどチェックしていた訳文にこんな表現がありました。

 会ったのはほんの数回だけだった。(A)

ん? この文章に何か問題が?
ええ、ないとはいえません。できればこう直したいところです。

 会ったのはほんの数回だった。(B)
 会ったのは数回だけだった。(C)
 会ったのは数回だった。(D)

どうですか?
(B)または(C)で十分、というより、(A)よりすっきりして意味もまったく同じですよね。
「ほんの」と「だけ」を重ねる必要はありません。
むしろ、どちらかのほうが「それしか会っていない」という意図がすっと伝わりまませんか?
あるいは、文脈によっては(D)でもいいぐらいです。

訳文をチェックしていると、こうした「くどい表現」が非常に頻繁に目につきます。

そうです! この「非常に」も不要である場合が多いです。

訳文をチェックしていると、こうした「くどい表現」が頻繁に目につきます。

このほうがいいと思いませんか?
「非常に」や「とても」に当たる語(=英語のvery、仏語ではtrès など)は、西洋言語の原文ではたくさん出てきます。

ですが、それをいちいち「非常に」と訳していると「いかにもこなれてないなあ」という感じがすると、編集者さんたちもよくおっしゃいます。
実際、先ほどの例文と同じで「非常に」を入れないほうがその形容詞や副詞が際立つことが多いのです。

これまで形容詞や副詞を強調する言葉を原文に忠実に「とても」と訳していたとしたら、一度、思い切ってとってみてください!
(Y)