台湾(人口約2,360万人)
メリー・ジェーン
① 新型コロナウイルス感染状況について、いまはどうなっていますか?
新型コロナウイルスの感染が今年の1月に拡大してから8か月が経ちました。台湾の感染状況は、他の国と比べて落ち着いたように見えますが、つい最近も感染者がちょこちょこ出ていて、台湾の人たちはコロナに対する危機感を改めて感じています。現時点(8月30日)では、国内感染者数は累積488人、死亡者数は7人です。
ここのところ国内の感染確認者はほぼゼロだったのですが、最近、海外の空港で台湾からの入国者10人が陽性だということがわかりました。その10人は、到着先の空港でPCR検査を受け、そのうちの4人は台湾以外の国で感染したと判明したものの、残りの6人の感染経路はいまだに明らかになっていません。陽性だった10人と接触した台湾国内の人たちも全員PCR検査を受けましたが、みんな陰性でした。どうして、感染者が台湾にいたのに、国内から1人も感染者が出ないんだろうと、国民からは疑問の声が上がっています。
② 国や自治体からの規制や制限はありますか?
台湾はコロナ感染拡大のピーク(3月)後、は清明節(台湾のお盆)の連休を迎えました。多くの国民は今までの旅行ロスの気持ちが高まり、感染状況が収まっていることも相まって、リベンジ旅行(報復性旅行)という現象が台湾の各地で見られました。清明節以降の連休には、台北近郊の宜蘭(ぎらん)、台湾東部の花蓮(かれん)などは以前よりも観光客で賑わっていたようでした。
③ 国や自治体からどんな援助がありましたか? あるいはありますか?
もちろん、コロナによる消費低迷の復興に向けて、台湾政府もさまざまな取り組みを進めています。そのなかでもっとも物議を醸したのは「振興3倍券」という施策です。「振興3倍券」というのは、台湾国民であれば、1,000元(約3,600円)で3,000元(約10,000円)分を購入できるクーポン券のようなものです。紙製の振興券は郵便局で購入できますが、7月の頭に受け取りに行く人が多かったため、郵便局の前には行列ができていました。紙のチケットのほか、クレジットカードや電子マネーなどの対応もありますので、暑いなかで並びたくない人にとっては本当にありがたいですね。この給付金の支給により国内の消費押し上げ効果が見込める一方で、なぜ、ただ2,000元を支給するのではなく、国民がまず1,000元を支払わないといけないのか、という批判の声もインターネットの掲示板に殺到しています。
また、医療マスクの販売について、最初は政府がリソースを管理していたので、民営企業が医療マスクを売ることはできなかったものの、感染拡大が収まった現在では薬局やスーパーなどの小売業でもマスク箱売りの商品が並んでいます。芸能人とのコラボ商品のレースマスクも一時話題となり、発売日に即売り切れ盛況もありました。これからは、マスクもファッションアイテムの1つとして日常生活を輝かせるかもしれないですね。
④日常生活や街の様子など、とくに前回のレポート時から変わったことがあれば教えてください。
現在、ほとんどの企業はリモート勤務を終わらせていて、ラッシュアワーの通勤電車は以前のように満員です。ただ、電車に乗る際に必ずマスクをする決まりがあり、違反すると罰金が課されます。乗客の顔をじっくり見てみると、鼻の下にマスクを着用したり、布マスクをしたりする人も少なくはないので、あまりマスクをする意味がないのではと思うことも多々あります。
⑤近況について、ご自由にお書きください。
他国と比べて、台湾でのPCR検査の数は非常に少ないです。海外から入国した人は14日間の隔離が必要で、その後7日間の自粛要請もあるとはいえ、PCR検査はいっさい不要なようです。台湾国内の感染者はいないのに、外国へ渡った台湾人から続々と陽性反応が出たことから、国内ではもうすでに多くの陽性者がいるとしか思えません。政治家やコメンテーターもよくこの件について政府に提言していますが、いまだに納得のいく理由と対策案は出されていません。毎日しっかり防疫意識を高めて生活をしていくこと。これから自分、家族、大切な人々を守るために、それが唯一の方法なのだと思います。
メリー・ジェーン:台湾在住のアプリマーケター。