コロナ終息に向けて:各国レポート第三弾(14)アメリカ・ハワイ

united states of america

アメリカ・ハワイ(人口約141.6万人)

シーモア・ダニエル

①新型コロナウイルス感染状況について、いまはどうなっていますか?

現在、ハワイの感染状況は安定して推移しており、先月Tier(*)2からTier3(10人まで集まってよい)に規制が緩和されました。これに伴い、マスク規制も緩和され、外でのマスク使用の義務化は撤廃されました。ワクチン接種状況も着実に進んでおり、現時点で州民の50パーセントが2回目の接種を完了しています。

*ハワイ州における、感染予防をしながら経済活動も再開させていくための行動や社会生活の基準を設定した「リカバリーフレームワーク」の基準。Tier1(ティア1)からTier4(ティア4)の4段階ある。

②ワクチン接種については、どのように進められ、現在(執筆時点)、どのような状況ですか?

私は陸軍病院での医療従事者なので、去年の12月に1回目、そして1月に2回目を接種しました。もちろん、強制ではありませんが、やはりコロナに感染している患者とやり取りをする以上、半強制的に接種した感はありますが悔いはありません。現時点では12歳以上の州民は全て接種可能となっています。

③現在(執筆時点)、国や自治体からの規制や制限、援助がありますか?

国レベルでの規制と州レベルでの規制は違いがあり、細かいところは分かりませんが、州が右寄り(保守派)なのか左寄り(リベラル派)かで規制が変わっている状態です。右寄りの州はいち早くマスクの義務化を撤廃し、ロックダウンも解除しております。ちなみにハワイはリベラルです。ただ、今となってはCDC(疾病対策予防センター)自体がマスク着用規制の緩和を発表しているので、全国レベルで規制緩和のムードが高まっています。

今、ワクチンの接種状況は全国的に伸び悩んでいる傾向があり、各州が様々なアイデアを出し、「ワクチン懐疑派」が接種する手立てを模索している状況です。オハイオ州などは「ワクチン宝くじ」を導入し、接種すれば100万ドル(約1億900万円)が当たる計画を実施しており、実際に先日当選者が発表されました(うらやましい感が拭えません)。

④変異株の広がり、もしくはワクチン接種普及の前後で、日常生活や街の様子など変わったことがあれば教えてください。

私は医療従事者なのでいち早くワクチンを接種できましたが、だからと言ってマスクを外すとか規制を無視するようなことはしておりません。今は逆にマスクをしないほうが違和感を感じます。

また、ハワイはアメリカ本土からの観光客が徐々に増えはじめていますが、日本の景気が戻らないかぎり、日本からの観光客は以前のようには見込めないでしょう。これを機会にハワイが観光頼みから脱却してくれないかなと思っています。

⑤近況について、ご自由にお書きください。

コロナ禍で被った影響は計り知れません。近い将来、どれだけ損害を受けたかの試算がされると思いますが、一番損害を被ったのは将来を担う子どもたちだと思います。

アメリカでは、最近になってやっと学校が開校されましたが、この1年間子どもたちは友達と会えず、スポーツもできないまま家のなかで悶々とすごしてきました。成長する過程で普通に通る道を歩むことができず、その上、コロナ禍以前には見いだせていた「安定感」が覆される状況となりました。子どもが本来持っている「子どもらしさ」が失われたような感じがしてなりません。

いち早くコロナが収束され、子どもたちが安心して暮らせる世界に変わってほしいことを願います。


シーモア・ダニエル:臨床カウンセラー。2019年よりハワイ在住。