コロナ終息に向けて:各国レポート第四弾(20)チェコ共和国

チェコ共和国(人口約1065万人)

岡戸久美子

①現在(執筆時)の新型コロナウイルスの感染状況について教えてください。

2022年4月現在、1日当たりの新規陽性者数は約4,000人~7,000人と変動はあるものの、減少傾向にあります。PCR等検査実施数は2022年年初の20%程度に減少しており、無症状や感染していても症状が軽いなどで検査を受けていない人がかなりいるともみられていますが、過去最多となった2月初旬の57,000人超に比べればかなり落ち着いたといえます。

②現在の生活のなかで、コロナウイルス関連で規制や制限されていること、義務付けられていること、支援されていることなどはありますか?

昨年11月末にオミクロン株が確認され、またたく間に感染が広がったため、みんなが楽しみにしていたクリスマスマーケットが急遽中止されるなど、冬の間は規制強化やワクチンのブースター接種の推奨などコロナ対策関連のニュースが続きました。しかしそれも、今年2月をピークに感染者が減少し、落ち着きを見せたことから、3月より徐々に規制緩和が進み、商業施設や飲食店、劇場などに入る際に義務づけられていた陰性証明のチェックも不要となりました。これにより、検査を受ける人が激減したものと思われます。4月9日には、あらゆる国からのチェコへの入国時規制が解除、長く残っていた公共交通機関でのレスピレータ(FFP2マスク)着用義務も4月14日よりとうとう解除されました。医療機関等でのレスピレータ着用義務など多少の規制は残っていますが、普段の生活に大きく関わる部分の規制がほぼすべて解除となったため、周囲では「コロナ規制は完全に終了」といったムードが広がっています。

住宅街にやってきた移動遊園地
マスクやソーシャルディスタンスを気にする人はもういません

③ワクチン接種については、どのような現状ですか?

オミクロン株による感染拡大時にブースター接種が強く推奨されたため、3回目(ワクチンの種類によっては2回目)を受ける人が一時期増えました。その一方で、ワクチンを接種しても感染する、すでに感染したことがあっても再感染するということから、副反応のあるワクチンをまた接種するのは気が進まないという声も多く耳にしました。また、コロナに関する規制強化やワクチンに反対する人もわりと身近に何人もいました。

首都プラハと地方の街を行ったり来たりという生活をしていた私の個人的な印象ですが、どちらかというとプラハに住む友人・知人は規制を受け入れ、ワクチン接種に対しても積極的な人が多く、地方の小さな街に住む人びとに規制反対派が多かった気がします。

非感染証明の提示義務が解除されたいまとなっては、ワクチンの話題を耳にすることはほぼなくなりました。感染から身を守るというよりは、ワクチンパスによる非感染証明のために接種していた人が多かったのではないかと思われます。

公園でリラックスする人びと①

④近況や思い、今後の見通しなど、ご自由にお書きください。

この春より、他の欧州諸国と同様チェコでもほとんどの規制が解除となり、ほぼ終息ともいえる状況になっています。しかし、現在人びとの心は、感染が収まってきた時期と前後して起きたロシアによるウクライナ侵攻が気がかりでコロナどころではない、というのが実際のところです。もともとウクライナからの移民も多く、さらに歴史的な経験からも他人事とは思えないチェコでは、隣国であるポーランドやスロバキアとともにいち早くウクライナへの支援を表明し、動いています。一難去ってまた一難、といった悲嘆の声も多く、元の生活に戻る見通しはなかなか立てられそうにありません。とにかく平和で穏やかな日常が一日も早くすべての人に訪れることを願って、日々自分にできることを考え、暮らしていかなければと思っています。

公園でリラックスする人びと②
こういったささやかな日常の大切さを感じます

岡戸久美子(おかど・くみこ):英日翻訳者。チェコ共和国北西部在住