コロナ終息に向けて:各国レポート第四弾(26)アメリカ・ハワイ

アメリカ・ハワイ(人口約141.6万人)

シーモア・ダニエル

①現在(執筆時)の新型コロナウイルスの感染状況について教えてください。

新型コロナ発生から2年以上経過したという事実が感覚的に噛み合っておらず、体感的には2020年から今まで「時の経過」の境目がなく繋がっている気分です。今までパンデミック前のライフスタイルがずっと「お預け」状態だったため、こういった心理状態が生まれると思うのですが、規制が大幅に緩和されたアメリカではもう「脱コロナ」色がとても強く、話題にも上らなくなってきました。

11月に中間選挙での惨敗が予測されている民主党は、「規制党」のレッテルを払拭すべく緩和に躍起になっています。とは言ってもコロナが消えたわけでは全くなく、目下オミクロンの変異株BA.2が猛威を振るっている最中です。同じく、ハワイでもコロナ感染は急増しており、少なくともホノルル市内での新規感染者数は1日約400人強を記録しております。ちなみにハワイ州のワクチン接種率は現在77%で、アメリカ合衆国全体で見ると接種率が6番目に高いと言われております(1位:ロードアイランド州)。

2年前に我が家にやってきた猫のハナちゃん。すっかり大きくなりました!

④近況や思い、今後の見通しなど、ご自由にお書きください。

個人レベルというか家族レベルでは、1年前に比べるとかなり安定感が戻ってきた感じでしょうか。1年前は子供がリモート授業を受けながら家にずっといる状態で、同時に妻が子供の世話をしながら彼女自身がリモートワークをこなさなければならないという、聞いただけでも青ざめる生活でした。普段なら学校で楽しく友達と過ごす貴重な時間が奪われ、退屈なリモート授業を強制されれば誰でもストレスは溜まります。そのストレスの矛先が妻に向き、結果として妻の仕事が疎かになり、それがまたストレスになるという悪循環が出来上がってしまったため、妻は帯状疱疹にかかり1か月休職をする事態に。その上、コロナという見えない脅威が子供たちの心理的安定感にダメージを与え、娘達、特に長女の心理状態は芳しいものではありませんでした。「ウィルス」に対する過剰な恐怖心から長女は手洗いを何回も繰り返すようになり、手の皮が剥けるまでの深刻な状態になっていました。

一方私は、リモートワークが許されず、逆に出勤することによりメリハリができたお陰で、妻のようにうっぷんが溜まることがなく、よく「いいとこどり」をしてると文句を言われました。そして、家に帰ると長女と妻の怒鳴りあいの喧嘩を調停する毎日。実は1年前に引っ越しをしたのですが、引っ越しの遠因はコロナにあったことに気づきました。考えてみると、あれもこれもコロナが原因で起きたことが多いのですが、その渦中にいるときは「これはコロナによって起きていることなんだな」とまでは思い至りませんでした。

今は1年前に比べコロナ予防に対する心がけがかなり緩んでいます。もちろん病院に勤務しているのでマスクとゴーグルはつけているのですが、用心からではなく惰性でつけているのが本音です。また、以前はコロナ感染者との濃厚接触がある度に「どうしよう」と思っていましたが、正直、心配するのに疲れました。また、前はレストランに行くことに対し消極的でパーティーに呼ばれても不参加というパターンが多かったのですが、最近では積極的に参加しています。昨日もパーティーに呼ばれ、楽しい一時を過ごしました。

一時期は「どうなるのだろう」と、心配していた長女の荒れた心も、いまでは打って変わってパンデミック前の状態に戻りました。やはり学校が開校したことで「毎日友達と会えるようになった」のが一番大きいですね。この私たちの世代が「当たり前」だと思っていたことが容赦なく奪われてできなくなってしまった事態を子供に「理解しろ」と言っても難しいと思います。私たちはコロナによって強いられた「我慢」の限界に近づいてきているのではないでしょうか? コロナだから「やらない、できない」は、1年前は通用したかもしれませんが、今では多少言い訳がましく聞こえます。ダラダラと長くなってしまいましたが、コロナ渦でも無事に結婚13年目を迎えることができたこと、また「タロウ」君という新しい猫が家族に加わったことを報告させていただきます。

新しく家族に加わったタロウ君です

シーモア・ダニエル:臨床カウンセラー。2019年よりハワイ在住