イギリス(人口約6665万人)
アレクサンダー・ペイトン
先日、イギリスでは、ロンドンのウェストミンスター寺院で、チャールズ国王の戴冠式が盛大に行われ、各国の王族や要人など約2,000人が参列しました。その時の映像をテレビでもご覧になった方もいらっしゃるでしょうが、マスクをしている人はいませんでした。普段の生活でも、マスクをしている人はほとんど見かけませんし、ソーシャルディスタンス等の規制もなくなり、コロナ前の日常に戻っているような気がします。
私はコッツウォルズという観光地に住んでいますが、天気の良い休日などは観光客であふれています。駐車場はどこも満車、アイスクリーム屋さんの前には長い行列ができています。川沿いでは大勢の人がピクニックをし、特にソーシャルディスタンスを気にしている様子はありません。
現在は、新型コロナウイルスに関する法的規制はありませんが、イングランドの国民保険サービス(NHS)からは、以下のような勧告が出されています。
- 健康上の問題がある人は、
可能であればワクチンの追加接種を受ける。石鹸で手を洗ったり、アルコール消毒によって手を清潔にする - 咳やくしゃみをするときは口と鼻を覆う
- ドアノブやリモコンといった頻繁に触れる場所や、キッチン、バスルームなどの共有スペースを定期的に掃除する
- 他人と密接な接触をしたり、混雑した場所に行ったりするときは、顔にぴったりとフィットする2層以上のフェイス・カバーの着用を検討する
イギリスでは、新型コロナウイルス感染症にかかったとしても隔離をする必要はなくなりました。健康上のリスクを抱えていない人は、ワクチンの追加接種もできなくなりました。実際に、周りではコロナを話題にすることもすっかりなくなりましたので、インフルエンザと同等の扱いになったように感じられます。
仕事に関しても、一時はどの会社でもできるだけリモートワークをするように言われていましたが、今は元の体制に戻ったところもあれば、引き続きリモートワークを続け、週に数回は出勤する会社もあり、仕事の体制も多様化しているように思います。
しかし、新型コロナウイルスに感染した人のなかで200万人が現在も後遺症に苦しんでいるといわれています。この後遺症は、「Long COVID」と呼ばれ、NHSのサイトでも、倦怠感、息切れ、胸痛、臭覚の欠如、筋肉痛等の症状が見られると書かれています。
コロナが終焉してようやく平穏な日々が過ごせるようになったので、新たなウイルスが出てこないことを祈るばかりです。
アレクサンダー・ペイトン:英日翻訳者。イギリス・コッツウォルズ在住