コロナ終息に向けて:各国レポート第二弾(1)フランス

france

フランス(人口約6706万人)

白仁高志

①新型コロナウイルス感染状況について、いまはどうなっていますか?

8月22日の時点で、累計の感染者数23万4000人、死亡者数3万503人、新規感染者数4586人、新規死亡者数23人。死亡者数は、3月、4月頃に1日最大で1000人近く亡くなったのに比べれば、だいぶ減っています。医療現場も重症者数が減っていて、医療崩壊というような状況ではありません。ただし、感染者の数はじわじわと増えています。

②国や自治体からの規制や制限はありますか?

外出制限措置が解除された5月11日以降、公共交通でのマスクが義務付けられて、違反者には135ユーロ (約1万7000円) の罰金が科せられました。7月20日以降は密閉された公共空間 (社内、店内、映画館、美術館、駅構内など)にもマスク着用義務が拡大されました(同じく罰金付き)。8月以降、フランス南部のマルセーユでは8月16日から、トゥールーズでは8月21日から、また、パリおよび周辺三県でも8月28日から、市内全域で屋外でのマスク着用が義務づけられました。

③国や自治体からどんな援助がありましたか? あるいはありますか?

私は、フランスでProfession libérale(翻訳業)という労働資格を有しており、この業種では、外出制限措置が課された今年の3月、4月、5月を対象として、昨年の同月と比較して著しく収入が減った場合、最大で月1500ユーロの補償金が国から支払われる救済措置がありました。

④日常生活や街の様子など、とくに前回のレポート時から変わったことがあれば教えてください

3月17日から5月11日までの外出制限措置期間中は、内務省のウェブサイトから外出証明の様式をダウンロードして、毎日、外出する際には、氏名、外出理由を明記して携行しなければなりませんでした。5月11日以降は、外出証明の携行義務がなくなり、外出範囲も自宅から1キロメートル以内だったのが直線距離で100キロメートルまでに拡大され、6月2日には100キロメートル以上の移動の場合でも証明書携行の制限が解除されました。ただし5月11日以降、公共交通でのマスク着用義務はずっと続いています。②に書いたとおり、7月20日以降、公共交通だけでなく、すべての密閉された公共空間でのマスク着用が罰金付きで義務付けられました。3月17日から5月11日までの外出制限措置の実施中、Creil市の自宅近くにあるCORAという巨大スーパーでマスクをしている人は半分以下でしたが、外出制限措置が解除されると同時に、皮肉なことにマスクをする人の数が一気に増えました。その後、すべての密閉された公共空間でのマスク着用が義務付けられたので、いまではどんな店の中でも全員がマスクをしています。各店舗の入り口には、自由に使える消毒液も置かれています。

⑤近況について、ご自由にお書きください

上記のように、マスクさえ付ければ、どこにでも自由に行ける状態になっています。また、テニス、ゴルフ、筋トレなども自由にできるので、3月から5月までの外出制限措置期間中に比べれば、はるかにストレスを発散できています。しかし、日本と同様、フランスでも感染者数は増えつつあり、引きつづき警戒が必要です。一部の若い人たちが、無観客で行われるサッカーの試合の後に集まって騒いだりしているようですが、全般的にフランスの人々はこの状況をよくわきまえて行動しているように思われます。


白仁高志(しらに・たかし):フランス語・英語の翻訳・通訳者。フランス・パリ郊外のクレイユ在住