台湾(人口約2357万人)
メリー・ジェーン
台湾の社会の現状
2023年5月20日現在、国境が開放されてコロナが収束したとみなされてから半年経ちました。台湾ではほとんどの人が外ではマスクを着用しなくなり、3年前の生活に戻っています。
2022年10月、台湾は隔離ルールを解除しました。多くの外国人観光客や台湾国民が、コロナの陰性証明書を持たなくても自由に台湾に出入りできるようになりました。観光産業が徐々に回復してきたといえるでしょう。2022年の夏、私は仕事でアメリカに出張したのですが、台湾に戻ると10日間ほど隔離生活を送ることになりました。その時に一番驚いたのは、アメリカではほとんどの人がマスクをせず、感染をあまり恐れていないように見えたことです。当時の台湾とは大きな違いがありました。その後わずか半年ほどで、台湾も欧米に追いつくことになるとは思いませんでした。
感染が拡大した初期のころ、台湾の人々にとっては滑稽で、屈辱的な出来事がありました。当時、台湾ではワクチンが不足していたため、政府は「高端」と呼ばれるワクチンを開発しました。「高端」ワクチンの臨床試験はまだ不十分だったのですが、ほとんどの人が政府から半ば強制的に推奨され、「高端」を接種しました(友人の話によると、注射後の副作用はほとんどなく、体が軽くなる感じがしてとても良かったそうです)。しかし、ここからが問題で、その後、多くの国では入国時3回のワクチン接種証明が必要になりましたが、「高端」ワクチンは国際的に認められたワクチンのリストに含まれていなかったのです。そのため政府は、「高端」ワクチンを受けた人でもさらに他のワクチンを受けることができるようにするか、陰性証明書の取得に必要な費用を補償することを約束しなければなりませんでした。台湾人にとっては恥ずかしい出来事ですね。
台湾のコロナの感染状況
台湾の多くの人々は3〜4回のワクチン接種を受けていますが、私の周りでは、同僚や家族もはじめほぼ全員が感染しました。ただし、実際に台湾で感染が広がったのはオミクロン変異株が広がったときで、ほとんどの人がワクチン接種を受けていたこともあって、感染者の症状は軽く、大抵の人があまり辛さを感じずに回復しました。当時80代だった私の祖父母も陽性と診断されましたが、高齢者ということで国から1回あたり4万円の新薬が無料で提供されました。
現在、台湾ではコロナはインフルエンザと変わらない扱いになりました。
台湾国民の現在の日常生活
海外と異なり、台湾ではコロナ感染が最も拡大した時期でも、リモートワークはあくまで一時的なもので、その後は続けることができませんでした。欧米や日本では、在宅勤務が一般的となり、海外で働いている友人のなかには、毎日出社しなければならない状態に戻ったらすぐに転職すると言っている人もいます。それに比べ、台湾では、リモートワークのメリットを享受している人は非常に少ないと言えるでしょう。
日常生活においては、現在はマスク着用が義務付けられているわけではありませんが、それでもジムや電車の中では半数以上の人々がマスクをしています。なぜなら国境が開放されたことで、台湾には世界中から外国人が押し寄せているからです。
まとめ
私にとっては、新型コロナウイルスの感染は一段落したことになります。毎年のワクチン接種が必要なことを除けば、私の生活は3年前、感染拡大が始まる前とまったく同じに戻ったのです。その気になれば、マスクなしで自由に走り回ったり、外でジョギングしたりできるようになりました。ただ私個人は、「プールで泳ぐ」ことが怖いです。今でも、映画などでプールで泳ぐシーンを見ると違和感を覚えます。これが3年間も続いたコロナ禍が私に与えた最大の副作用かもしれ
リー・ジェーン:台湾在住のアプリマーケター