「選ぶ」楽しみ、「つくる」楽しみ、「売る」楽しみ

書籍翻訳セミナー「ノンフィクション編」第1回では、タトル・モリ エイジェンシーの玉置さんがご登壇くださいました。
こういう席で話すのは初めてとおっしゃっていた玉置さんですが、
「海外の著者から翻訳者まで、そして書店や読者までを含めたひとつの“エコシステムのような循環”がよい作品をつくりだす」
「海外で刊行される2年前ぐらいにすでに版権エージェンシーが動いている」
などなど、刺激的で貴重なお話をたくさんうかがえました。

明日の第2回「出版の現場から Ⅰ」
NHK出版の松島倫明さんと飛鳥新社の品川亮さんにお話しいただきます。

NHK出版さんといえば、弊社リベルを立ち上げた当初から仏語や韓国語の書籍で大変お世話になっています。
松島さんと初めてお会いしたのは、10年以上前、フランクフルトのブックフェアで。
その晩、NHK出版vsリベルで飲み明かしました。
あまりに楽しかったので、東京に戻ってもすぐに同じメンバーで集まって飲みなおしたほどです。
そのときはまだ「翻訳班に来たばかりです」とおっしゃっていましたが、穏やかで落ち着いた物腰で独特のオーラを放っていらっしゃったのをよく憶えています。
そしていまや、まさしくカリスマ編集者。
独自のプロモーションで話題になった『FREE』をはじめ、『MAKERS』『SHARE』、最近では『ZERO to ONE』など話題作を次々に世に出していらっしゃいます。
ここ数年、ノンフィクション出版翻訳忘年会で、今年のベスト作品の担当編集者として毎回壇上にいらっしゃるところを遠くから眺めていたのですが、
最近また、松島さんのご依頼で何作もお仕事させていただき、うれしいかぎりです。

飛鳥新社の品川さんとの出会いは、フランスの青年が手書きの絵と文で東京のあちこちを紹介する『東京散歩』という作品の翻訳を依頼していただいたのがきっかけです。
打ち合わせに伺うと、帰り際に「最近出しました」と本を一冊いただきました。
『絶望名人 カフカの人生論』
帰りの地下鉄の中で読んで、すっかりハマりました。
こんな企画を考えつき、こんなおしゃれな本をつくる品川さんってどんな方なんだろう?
オフィスに戻ってさっそくネットで検索してみたところ、以前は、一世を風靡したカルチャー雑誌『STUDIO VOICE』の編集長さんだったとわかりました。
映画監督としてもお名前がでてきました。
たしかに品川さんが編集された作品には、『ウォーキングデッド』というアメコミをはじめ、ビジュアルとテキストが見事に合体しているものがたくさんあります。先ほどのカフカ本や『試験に出ない英単語』など、凡人ではとても思いつかないようなユニークな発想の話題作もいろいろ手がけていらっしゃいます。

このお二人にいっしょにご登壇いただこうと思ったのは、
今という時代を読みながら、自分のこだわりで原書を「選び」、作品を「つくり」、その本を「売る」。そのどれをも、とても楽しみながら翻訳本を世に送り出しているという点で、お二人が似ていると思ったからです。

はたして講師をお願いすると、松島さんは「品川さんと一度お話ししたかった!」とおっしゃり、品川さんも「松島さんにはたくさんおききしたいことがあります」と、お二人とも即、快諾してくださいました。

明日、どんなお話が飛び出すか、楽しみで仕方ありません。

(Y)

ノンフィクション編 いよいよ開講

明日からリベル書籍翻訳セミナー『ノンフィクション編』を開講いたします。

今回の受講者のなかにはフィクション編にいらしてくださった方も多く、弊社が講師を務める回もできるだけ「フィクションとの違い」を中心にお話するつもりです。

そして今回もまた、特別講師の方が多数ご登壇くださいます。

明日の第一回は、タトル・モリ エイジェンシーで長年ノンフィクションを担当していらっしゃる玉置真波さん。
版権エージェントからみたノンフィクション翻訳出版の現状」をお話いただきます。

ノンフィクション翻訳本を手がけている出版社の方ならまず、版権エージェント玉置さんのお名前を知らない人はほとんどいないのではないでしょうか。
数々のヒット作を扱っていらっしゃった玉置さんがセミナーや講座でお話されることはめったにないそうです。
何人もの編集者さんから「玉置さんがお話されるんですか? 聞きたいです!」と言われました。
まして、日ごろエージェントと接する機会がほとんどない翻訳者にとっては、間違いなく貴重なセミナーとなるでしょう。

弊社でもときどき、玉置さんから「よかったら大至急読んでみてください」と多言語の作品のリーディングを依頼していただくことがありますが、たしかに「売れ筋」と思えるものばかり。

「ノンフィクション」という幅広いジャンルのなかからどのように話題作を発掘するのか、またエージェントと出版社や翻訳者の関係についてなど、お聞きしたいことがたくさんあります。

どんなお話が飛び出すか、スタッフ一同、期待を胸に、今日もまだ遅くまで準備に追われています。

(Y)