きっと役立ちます(第8回セミナー)

1月に始まった「リベル書籍翻訳セミナー2015 フィクション編」も残すところあと1回。

前回は、イタリア語翻訳家の関口栄子さん、スペイン語・英語翻訳家の宮崎真紀さんにご登壇いただき、デビューのきっかけ、子育て中の苦労話、書籍翻訳という仕事の魅力、多言語翻訳の特徴などについて、本音で語っていただきました。
多言語の方はもとより、英語の翻訳家をめざしている受講者の方々からも「勇気づけられました」「共感しました」という声がたくさん集まりました。

さて最終回は、リベルスタッフが講師を務め、翻訳・トライアル・リーディングの実践的なアドバイスをいたします。

まずは、リーディングについての続編です。

そのあとは「原稿作成のコツ」

送られてきた原書には書き込みをしていい?
原稿は横書き? 縦書き?
数字は漢数字? 算用数字?
訳注はどこに入れたらいい?
などなど……
原稿作成時の具体的な注意事項をまとめてお話しします。
こういうふうにしてくれると出版社や翻訳会社は助かる、
こんなふうだと嫌がられる、
といった具体的なポイントもお知らせしましょう。

続いては「書籍翻訳者の資質」

毎日たくさんの原稿を見ていると、
書籍翻訳に必要不可欠な要素は何かを痛感し、
翻訳者にはいくつかのタイプがあることがわかります。
自分に欠けているのはどの要素?
自分はどのタイプの翻訳者?
それを自覚するだけでも、訳文を客観的に見られるようになり、
翻訳のクオリティが高まります。

そして「トライアルで選ばれるための決め手」

どういう訳文は落とされる?
最後のひとりになる決め手は何?
選ぶ側はどこを見ているのかを説明し、
さらに、以前このブログでも紹介した「不要な言葉」など、
翻訳者が使いたがるNG表現を挙げてみます。

リベル総力を挙げての実践的アドバイス。
次に翻訳やトライアルの機会があったとき、きっとお役に立つと思います!

(Y)

女性そして多言語(第7回セミナー)

第6回セミナーは、文芸翻訳家の越前敏弥さんが主に「翻訳家の心得」についてお話くださいました。
とても深いご指摘が多く、我々スタッフ一同も思わず居住まいを正したくなりました。

さて、明日の第7回は、イタリア語翻訳家の関口英子さんと、スペイン語・英語翻訳家の宮崎真紀さんにご登場いただきます。

関口英子さんは、児童書、文芸、ノンフィクション、映画字幕と幅広くイタリア語翻訳を手がけていらっしゃいます。光文社古典新訳の訳書も何冊かおもちで、昨年11月には第一回須賀敦子翻訳賞を受賞されました。

月を見つけたチャウラ関口さんとは、リベル設立当時に知り合いました。
まだ会社の体もなしていない頃でしたが、多言語の翻訳者が集まった翻訳会社というコンセプトにとても興味をもってくださいました。
これまで弊社から直接翻訳を依頼はしていませんが、私が児童書を訳すときにアドバイスをいただいたり、最近ではイタリア語の翻訳者さんを紹介していただいたり、いろいろな場面でお世話になってきました。
訳書の素晴らしさはもとより、お人柄やお話しぶりから、一作一作を実に深く丁寧に翻訳されているのだろうなあといつも思います。私が尊敬する翻訳家さんのひとりです。

一方の宮崎真紀さんは、スペイン語・英語の翻訳家としてたくさんの訳書をお持ちです(アマゾンで検索しただけでも60~70点)。
弊社では、2005年に『海を飛ぶ夢』という映画の原作本の翻訳をお願いして以来、スペイン語の文芸、ミステリー、ノンフィクション、さらには英語の文芸、ノンフィクションなどを20点以上依頼してきました(いまも、緊急出版といえる大作をお願いしていて、睡眠不足の毎日なのではないかと思います……)

ネルーダ事件

歴史を背景とした重厚なミステリーなどを宮崎さんが訳されると、ゲラを読んでいても、思わず読者としてその世界に引き込まれ、夢中になります。そして、同じ翻訳者として「うまいなあ~」とうなってしまうことしきりです。

そんなお二人にセミナー講師をお願いした理由は、英語以外の書籍翻訳家の現状を知りたかったことと、もうひとつは、第一線でご活躍の「女性」翻訳家のお話をうかがいたかったからです。

弊社に登録している翻訳者も圧倒的に女性が多く、今回のセミナーの受講者も8割以上が女性です。

先日、翻訳関連のある記事の中で書かせていただきましたが、翻訳という仕事は性別・年齢・キャリアが問われず、出来上がった仕事のクオリティで評価されるというところがひとつの魅力です。
とはいえ、女性の場合、結婚・出産・子育てなどのために仕事を中断せざるをえない時期があったり、翻訳時間がなかなかとれずにせっかく依頼された仕事も断らなければならないといった状況になることも多いのではないでしょうか。
お二人からは、そうした制約の中でどのように仕事を続けていらしたのかといったお話も聞けるではないかと期待しています。

僭越ながら、同じく英語以外の翻訳者でもある私が司会を務めさせていただきます。
いろいろな言語の女性翻訳者たちの本音トークをお楽しみに!

(Y)