日本酒、きのこ、星、そして翻訳(第5回セミナー)

早いもので全8回のリベル書籍翻訳セミナー「フィクション編」も
折り返し点を過ぎ、次回第5回セミナー(11月1日)では、
科学系ノンフィクション翻訳の第一人者としてご活躍中の
斉藤隆央さんにご登壇いただきます。

斉藤さんは東京大学工学部工業化学科をご卒業後、
化学メーカーに勤めながら翻訳の勉強を始められ、その後翻訳家に転身。
いまや、「ポピュラー・サイエンスといえば斉藤隆央さん」「この人が訳した本なら買っておいて損はない」などと言われる翻訳家です。
翻訳者の名前で本が売れる翻訳家というのは、
いまの日本では数えるほどしかいないのではないでしょうか。

斉藤さんご自身はばりばりの理系出身者ですが、
斉藤さんが教えられている翻訳学校のポピュラー・サイエンス講座には、
文系出身者も多いと聞いています。
そのなかから翻訳家としてデビューし、
書籍翻訳の第一線で活躍している人も大勢います。

生物宇宙を中心に、数学物理化学など科学全般の
翻訳を手がけられている斉藤さんですが、
翻訳だけにとどまらず、日本酒きのこなど、
幅広いご関心をおもちです。
「日本酒アドバイザー」の資格もおもちとか。

今回のセミナーでは、
科学書翻訳の難しい点、おもしろい点などを存分に語っていただきます。
クイズ形式のお話もあるとのことです。
今から楽しみでなりません。

(S)

女性のチカラ(第4回セミナー)

昨今、女性が活躍している業種は増えていますが、翻訳の世界もそのひとつ。
弊社の登録翻訳者もセミナー受講者も、女性の割合が圧倒的に高いです。

「翻訳」という職種だけでなく「出版」の世界で見ても、女性の率はかなり高いのではないでしょうか。
実際に、弊社が日ごろお世話になっている翻訳本の編集者さんの半分は女性です。

偏見を恐れずに言えば、男性編集者さんは一人一人がいい意味でこだわりをもち、好きな分野で面白い本をつくろうとするのに対して、女性編集者さんは全体を俯瞰し、バランスよく戦略的に考えて本をつくろうとする……。
あくまで個人的印象ですが、そんな気がします。

ひと昔前まで、大手出版社のなかでも女性が多い部門といえば、女性向け雑誌や児童書……と相場が決まっていました。ですが、いまの時代、まったくそんなことはありません。
文芸だろうが、ノンフィクションだろうが、どのジャンルでも女性編集者さんが生き生きと仕事をしていらっしゃいます。

そして、弊社で飲み会をすると、最後まで飲んでしゃべって翌朝弊社から出勤される……という方も、なぜか女性が多いです(笑)

そんななか、「ビジネス本」を中心とするノンフィクション翻訳本を次々と世に送り出している、まさしく「敏腕女性編集者」さんおふたりにご登壇いただきます。

おひとりは、日経BP社中川ヒロミさん。
ビジネス本に強い日経BP社さんにあって、シリコンバレー関連本や、ジェフ・ベゾスやスティーブ・ジョブズにまつわる書籍といった、まさしくビジネス本の中核をたくさん手がけていらっしゃいます。
弊社ではここ2年ぐらいのおつきあいですが、一見やわらかでかわいらしい雰囲気の中川さん、仕事となるとそれはそれは鋭いキレモノ編集者さんです。メールの返信も速く、原稿のご指摘もいつも的確。さらにプロモーションや著者・訳者を巻き込んだイベントを考えられたりと、中川さんの手にかかれば、どんな本も話題作になる……といっても過言ではないでしょう。

もうおひとりは、CCCメディアハウス土居悦子さん。
弊社とは、CCCさんが「阪急コミュニケーションズ」という名前だったころからとてもお世話になっています。
土居さんは、ビジネス本だけでなく、自己啓発本、実用書、また和書と守備範囲が広く、社会の動向にアンテナを張りながら、時代を半歩リードするような面白い企画の本をたくさんつくられていまます。
翻訳本とはいえ、日本人読者に受けるようにと内容をうまくローカライズされるのも、土居さん本の特徴でしょうか。そして土居さんがつける書籍のタイトルはいつも秀逸。「へえ、そう来たか。書店でみんなが手にとりたくなるだろうなあ」と感心させられます。

そんな、エネルギッシュでキレモノのおふたりから、翻訳本編集のご苦労、そして翻訳そのものについても鋭いご指摘をたくさんきけるのではないかと期待しています!

(Y)

トップランナー(第3回セミナー)

書籍翻訳セミナー「ノンフィクション編」
第1回ではタトル・モリ エイジェンシーの玉置真波さん、
第2回ではNHK出版の松島倫明さん、飛鳥新社の品川亮さんにご登壇いただき、
それぞれエージェント、編集者のお立場からお話をうかがいました。

10月4日(日)の第3回では、
いよいよ翻訳家の田内志文さんにお話しいただきます。

田内さんは、翻訳家、作家、スヌーカープレイヤー、翻訳会社経営者など多彩な顔をもち、どの分野でも大活躍されています。

田内志文さん

たとえばスヌーカーでは、アジア選手権、世界選手権の日本代表をつとめられたこともあります。
作家としては、『辞書、のような物語』(大修館書店)所収の短編「レネの村の辞書」が印象的です。
オープンカーが似合う経営者でもあります(実際に緑色のオープンカーに乗っていらっしゃいます)。

翻訳家としては、フィクションからノンフィクションまで手がけられ、
カウフマン『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』、コナリー『失われたものたちの本』(ともに東京創元社)など、ご自分で原書を発掘され、出版社に企画を持ち込んで話題作を生み出すことにもたけていらっしゃいます。

SNSでの情報発信、朗読会や、読者向けのイベント「しましょう、本の話」の開催など、田内さんのご活躍ぶりを拝見していると、「熱い男」という表現が思い浮かびます。

つねに翻訳家のトップランナーとして走りつづける田内さんが
日曜日のセミナーでどんなお話をしてくださるのか、今から楽しみでなりません。
今回はいつにもまして、熱気に満ちたセミナーになりそうです。
ご期待ください。

田内さんの訳書――

失われたものたちの本道は開ける
左:失われたものたちの本(ジョン・コナリー著、田内志文訳、東京創元社、2015年9月刊)
右:新訳 道は開ける(D. カーネギー著、田内志文訳、角川文庫、2014年11月刊)

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