今月の新刊2冊目(2017年3月)

united states of america 『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』

2017年1月にドナルド・トランプが第45代アメリカ合衆国大統領に就任して以降、アメリカで読まれつづけている本があります。“Hillbilly Elegy: A Memoir of a Family and Culture in Crisis”は、2016年6月にアメリカで刊行され、現在でもAmazon.comで総合5位とベストセラーリストの上位にランクインしています。

その待望の邦訳版『ヒルビリー・エレジー』が、今月刊行されました。

光文社刊

光文社刊

英エコノミスト誌は本書を「2016年に出版された本のなかで、アメリカを知るためにもっとも重要な一冊」と評しています。

著者のJ・D・ヴァンスは、名門イェール大学ロースクール出身の弁護士。現在はシリコンバレーの投資会社のプリンシパルとして働いています。

失業、貧困、離婚、家庭内暴力、ドラッグが蔓延するアメリカ中西部の町で、貧しく苦しい家庭環境で育ったヴァンスは、どのようにしてアメリカンドリームを実現したのでしょうか。ドナルド・トランプの強力な支持基盤となった「ヒルビリー」とは、いったいどんな人たちなのでしょうか。貧困にあえぐ白人労働者階層の実態は?

……などなど、本書には、アメリカの現実が鮮やかに描かれています。

しかもその内容は、アメリカ人にとってさえ衝撃的なものでした。だからこそ、アメリカで一年近くもベストセラーリストの上位に名を連ねているわけです。

日本の皆さんにも、ぜひ読んでみていただきたい一冊です。

(S)

今月の新刊1冊目(2017年3月)

germany 『哲学のきほん――七日間の特別講義』

『あなたを変える七日間の哲学教室』が文庫化されました。

早川書房刊

早川書房刊

哲学ってなに?
人生の意味、道徳の正義、人間はどこまで「知る」ことができるか……。
そういった「問い」について、​1​日1テーマ、7日間かけて哲学者と対話しながら考えていく本です。

日本では「哲学」というと、小難しいもの、大学でしか学べないものと思われがちです​が、この本は、わかりやすい言葉でひとつひとつ階段を上るように「哲学的考察」に導いてくれます。

いつのまにか、ソクラテスもヴィトゲンシュタインも身近な存在に……。
まさに、楽しみながら「哲学のきほん」が学べます。​

(Y)

生活のたのしみ展

ご縁あり、ときどき翻訳でお手伝いしている「ほぼ日」さん、
3月24日~26日まで六本木ヒルズで「生活のたのしみ展」を開催しているとお知らせいただき、覗いてきました。

生活のたのしみ展_0001ふだんはほぼ日のウェブでしか買えない服、靴、食べ物……バザールのようにお店が並んでいます。
チェコのグラスや、松江と下北沢の書店がコラボしてセレクトした本など、なかなかお目にかかれないものも。

初日の夜にうかがったのですが、売り切れ商品もすでに続出。
食堂も、食べ物はすべて完売という人気ぶりでした。

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糸井さんはじめ、ほぼ日のスタッフのみなさんがおそろいのつなぎ姿でお客さんに直接対応しています。

つい最近上場して、ビジネス界でも大注目されている「ほぼ日」。
会社がどんどんビッグになっても、こういう「ぬくもり」は変わらないでほしいなあ。

(Y)

「マルセル・ブロイヤーの家具」展(東京国立近代美術館)

2017年3月3日(金)から5月7日まで、東京国立近代美術館で「マルセル・ブロイヤーの家具」展が開催されています。

展覧会図録と解説パネルの一部翻訳を担当した弊社も、オープニング前日の内覧会にうかがい、一般公開よりもひとあし先に展示を拝見してきました。

展覧会図録とチラシ

展覧会図録とチラシ

バウハウスで学び、のちに同校のマイスターにもなったマルセル・ブロイヤー(1902-81)は、建築家であると同時に、有名な「ワシリーチェア」の生みの親としても知られています。

鉄パイプを使った初めての住居用家具として高く評価されているワシリーチェアは、バウハウスで教えていた画家のワシリー・カンディンスキーのために、1920年代にデザインされた椅子だそうです。

会場では、展示作品のほか、実際にワシリーチェアに座れる体験コーナーもあります。バウハウスや家具に興味のある人には必見の展覧会です。

(S)

今月の新刊9冊目(2017年2月)

sweden_2 『制裁』

2月は短く、気がつけば月が変わってしまいました……。
遅ればせながら2月新刊の最後の作品は『制裁』です。

北欧ミステリ最高の〈ガラスの鍵賞〉を受賞した、警察小説「グレーンス警部」シリーズの第一作。
日本では2007年に出版されたのですが、版元の倒産によって絶版になっていました。
このたび、早川書房から、ファン待望の復刻版が刊行されました!

早川書房刊

早川書房刊

著者はアンデシュ・ルースルンドとベリエ・ヘルストレム。
ルースルンドといえば、昨年末に日本のミステリ関連の賞を総なめした『熊と踊れ』の作者で、『制裁』執筆当時はテレビ局のジャーナリストでした。
一方のヘルストレムは、13歳から麻薬を覚え、服役経験もあり、元囚人の社会復帰をサポートする団体の設立者。

ルースルンドは、刑務所についての番組の取材でヘルストレムと知り合いました。
ドキュメンタリー番組制作後も、二人はカフェでスウェーデンの刑務所制度や犯罪者の更生について議論しあい、ついに共著で小説を書くことに……

こうして誕生した「グレーンス警部」シリーズ、スウェーデンでは第7作まで発表されています。
日本でもミステリファンに人気の高い『三秒間の死角』はその5作目にあたります。制裁の復刻版をきっかけに、7作すべてが日本で刊行されますように!

なお、本年2月17日、ベルエ・ヘルストレムは2年間のがん闘病の末、亡くなられたそうです。とても残念です。

(Y)

仙台からの到来物

japan 仙台から、手づくりのジャムとパンが届きました。

キンカンとストリベリー

キンカンのマーマレード、ストリベリーのジャム

キンカンのマーマレードは、びっくりするようなおいしさ。
ストロベリーのジャムは、すばらしい香りと味。
市販の高級なジャムよりもおいしかったです。

ごちそうさまでした。

(S)