今月の新刊9冊目(2017年2月)

sweden_2 『制裁』

2月は短く、気がつけば月が変わってしまいました……。
遅ればせながら2月新刊の最後の作品は『制裁』です。

北欧ミステリ最高の〈ガラスの鍵賞〉を受賞した、警察小説「グレーンス警部」シリーズの第一作。
日本では2007年に出版されたのですが、版元の倒産によって絶版になっていました。
このたび、早川書房から、ファン待望の復刻版が刊行されました!

早川書房刊

早川書房刊

著者はアンデシュ・ルースルンドとベリエ・ヘルストレム。
ルースルンドといえば、昨年末に日本のミステリ関連の賞を総なめした『熊と踊れ』の作者で、『制裁』執筆当時はテレビ局のジャーナリストでした。
一方のヘルストレムは、13歳から麻薬を覚え、服役経験もあり、元囚人の社会復帰をサポートする団体の設立者。

ルースルンドは、刑務所についての番組の取材でヘルストレムと知り合いました。
ドキュメンタリー番組制作後も、二人はカフェでスウェーデンの刑務所制度や犯罪者の更生について議論しあい、ついに共著で小説を書くことに……

こうして誕生した「グレーンス警部」シリーズ、スウェーデンでは第7作まで発表されています。
日本でもミステリファンに人気の高い『三秒間の死角』はその5作目にあたります。制裁の復刻版をきっかけに、7作すべてが日本で刊行されますように!

なお、本年2月17日、ベルエ・ヘルストレムは2年間のがん闘病の末、亡くなられたそうです。とても残念です。

(Y)