仕事につながるリーディング(通信講座)

書籍翻訳の世界に足を踏み入れた方なら必ず、何度かリーディングをしたことがあるのではないでしょうか。

リーディングとは、海外の原書を読んであらすじや感想をまとめる仕事です。
まとめたものをシノプシスといいます(レジュメと呼ばれることもあります)。

弊社には出版社から毎週何本もリーディングの依頼が来ます。
翻訳者がまとめたシノプシスを提出し、出版社はそれを読んで作品の版権を買うためのオファーを出すかどうかを決めます。
弊社では出版社さんに、「版権を取得した場合には翻訳を弊社に依頼してください、少なくとも試訳を出しますので翻訳者の第一候補としては考えてください」とお願いしています。

実際、版権が決まった作品のほとんどは翻訳まで依頼されます。弊社もリーディングしてくださった翻訳者を第一候補として考えます。
そうやって書籍翻訳デビューをした方や訳書が増えていく方はたくさんいます。

また、毎回とてもいいシノプシスを出してくださるのにたまたま原書がよくなくて版権が決まらない場合には、次は翻訳をお願いしようか、となることもよくあります。

リーディングには、翻訳者が作品を理解する力や文章力がはっきりと出ます
シノプシスをみればその翻訳者のクオリティがわかる、とおっしゃる編集者さんもいます。
反対に言えば、シノプシスに難があるとリーディングした人の翻訳力まで疑われてしまうのです。

昨年弊社で開催した書籍翻訳セミナーでもリーディングが話題にのぼることが多く、アンケートでも質問がたくさんありました。そしてリーディング講座を開いてほしいという声もよく耳にしました。

そこでこのたび「仕事につながるリーディング」という通信講座を開講いたしました。

テキストには、これまで1000点以上のシノプシスを作成・チェックしてきた弊社のリーディングのノウハウがぎゅっと詰まっています。
リーディングの意義やシノプシスのまとめ方だけでなく、「原書はいつ戻せばいいの?」といったことから「読後感はどこまで正直に書いていいのか?」まで、実際にリーディングをしたときに誰もが悩むあれこれについても伝えたい……。そう考えた結果、「リーディングに関する30の質問」というQ&Aをつけました。それだけで10ページに及びます。

そして、2回の課題添削。1回目は課題原書を、2回目はご自分の好きな作品を読んでシノプシスを提出してくだされば、弊社の総力を挙げて添削してお戻しします。

翻訳してみたい本があって出版社に売り込みたい。でも、こんなシノプシスでいいのかなあ……。そういう方はぜひ、2冊目にその作品のシノプシスを提出してください。

出版社の編集者と同じように、その作品を知らない立場で読ませていただき、情報として足りないところ、わかりにくいところを指摘するとともに、作品そのものについても率直な感想を書いてお戻しいたします。もちろん、送られてきたシノプシスに関しては、ご本人の希望がない限り社外には一切情報を開示いたしません。

2冊の課題提出後は、翻訳者としての評価がいっそう高まるシノプシスが書けるようになっているはずです。
講座終了後、希望者は弊社に翻訳者として登録していただければ、リーディングや翻訳のトライアルをお願いする可能性もあります。

「仕事につながる」
弊社ではこれからもその視点でいろいろな講座を開く予定です。
昨年のフィクション/ノンフィクションセミナーでも、受講者10名以上に、その後書籍の翻訳をお願いしました。
今回のリーディング講座を通して、また優秀な翻訳者さんに出会えることを期待しています。

(Y)

通信講座「仕事につながるリーディング」について、詳しくは以下をごらんください。
◆ ご案内用PDF→ 講座のご案内.pdf
◆ 弊社ウェブサイトに詳しい情報を掲載しています→ ウェブサイト

◆ お申込みはこちらから→ お申込みフォーム
◆ お問い合わせ→ CONTACT フォーム

感謝、感謝、感謝……

2015年も今日で終わりです。
いやあ、あっという間の一年でした。

年賀状作成のために、弊社が翻訳を手がけ今年刊行された作品を並べてみたら85点。
一点一点いろいろなことがありましたが、おかげさまでどれも無事、素敵な本になりました。
翻訳者、編集者、版元の方々、書店さん……そして読者の皆さまに感謝です。

原稿やゲラに追われながら、今年は書籍翻訳セミナーも開催しました。

12月13日、「ノンフィクション編」の最終回は、染田屋茂さんにお話を伺いました。
染田屋さんは、早川書房の編集者を経て、フリーの翻訳家として英語のミステリーなど10年間で数十作品を翻訳。その後、朝日新聞社、武田ランダムハウスジャパン、KADOKAWAで翻訳本の編集を手がけられ、いわば翻訳出版業界の重鎮といえる存在。
今年4月にフリーになられてからは、弊社のリライトやトライアル審査なども手伝ってくださっています。
通算30年以上翻訳出版の仕事に携わっていらっしゃる染田屋さんからのアドバイスは、最終回にふさわしく重みがあり、受講生の方々も大きくうなずいていらっしゃいました。

1月から4月まで「フィクション編」8回、そして9月から12月まで「ノンフィクション編」8回の書籍翻訳セミナー、皆さまのご協力のもとに無事終了いたしました。
特別講師は、第一線でご活躍の翻訳家、編集者、版権エージェントの方々。
講師をお願いした方全員が快く引き受けてくださったことは、弊社にとって大きな喜びであり、誇りにもなりました。
日ごろの打ち合わせの場では聞けない本音やエピソード、翻訳本にかける一人ひとりの情熱……どの講師のお話も、刺激的で学ぶことがたくさんありました。
本当にありがとうございました。
おかげさまで、リベルならではのユニークなセミナーになりました。

会場準備やテープ起こしを手伝ってくださったり、ブログやツイッターで弊社セミナーを紹介してくださった方々、聴講してくださった編集者の方々にもお礼を申し上げます。

そしてなにより、貴重な日曜の午後、セミナーに足を運んでくださった受講者の皆さまに心より感謝いたします。
なかには、金沢、新潟、関西方面から通ってくださった方も……。
皆さまが毎回、アンケートに活発な意見や質問を書いてくださることで、セミナー内容をさらに充実させることができました。
また、トライアルや課題にも積極的にご参加いただきました。
翻訳やリーディングの仕事をすでに依頼した方もたくさんいらっしゃいます(フィクション編・ノンフィクション編合わせて8~9名が弊社を通じて書籍翻訳デビューを果たされる予定です)。

まだ「ノンフィクション編」の課題添削が残っていますが、弊社にとっても優秀な翻訳者さんたちとの出会いの場となりました。

そして、来年……。
今回の書籍翻訳セミナー受講者からの感想などをもとに、新たに「リベルならでは」の企画を考えております。

来年も、刺激的な年、さらなる素敵な出会いの年になりますように。

そして、うちのスタッフたち、健康管理にだけは気をつけてね!

(Y)

翻訳者としてのトレーニング(第7回セミナー)

11月最後の日曜日となる11月29日の「リベル書籍翻訳セミナー ノンフィクション編」第7回では、いよいよ翻訳家の井口耕二(いのくち・こうじ)さんにご登壇いただきます。

いまでは『スティーブ・ジョブズ』(講談社)や『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』(日経BP社)といったベストセラー本の翻訳者として知られる井口さんですが、実は出版翻訳家として有名になる前から、翻訳業界参入ノウハウ解説書『実務翻訳を仕事にする』(宝島社新書、2001年)の著者として、あるいはインターネット上の翻訳者コミュニティ「翻訳フォーラム」の共同主宰者として、翻訳業界では名だたる存在でした。

現在は日本翻訳連盟の理事も務められるなど、まさに翻訳業界の重鎮として多方面で活躍されています。

そんな井口さんですが、東京大学在学中はアイスダンスの全日本選手権で入賞されたこともあるそうです。そしていまは自転車(ロードバイク)にはまっていらっしゃるとか。

井口さんについては、以下のウェブサイトに詳しい情報があります。
それだけでなく、サイト内のリンクをたどってみると、翻訳者にとって役立つ情報が満載なのがわかります。

井口耕二さんのウェブサイト
Buckeye the Translator
井口耕二さんの詳しいプロフィール(上記ウェブサイト内)
Buckeye’s profile

今回のセミナーのための打ち合わせでは、
井口さんが「我々は職人だから」とおっしゃっていたのが印象に残りました。
日曜日のセミナーでは、翻訳者としてのトレーニングの重要性などについてお話をしてくださるそうです。
ご期待ください!

(S)

ベストセラーの舞台裏(第6回セミナー)

2015年も残すところあとわずか。
忘年会の予定が入ったり、年賀状が売り出されたり……。
メディアでもこの季節、さまざまな分野でこの1年を振り返り、話題を総括しはじめています。

そして、明日の「リベル書籍翻訳セミナー ノンフィクション編」第6回では、「話題のヒットメーカー編集者が語るベストセラーの舞台裏」と題して、今年、日本の出版業界で話題沸騰の二つの出版社の編集部部長さんにお話を伺います。

お一人は、サンマーク出版翻訳書編集部部長武田伊智朗さんです。
サンマーク出版といえば、日本でもミリオンセラーとなった『人生がときめく片づけの魔法』が今年は世界に進出。
アメリカでは150万部売れ、著者の近藤麻理恵さんがアメリカのTIME誌で「世界で最も影響力をもっている100人」に選ばれたことも話題になりました。
サンマークさんは、和書を輸出するだけでなく、海外の話題作でも毎年大きなヒットを出しています。
弊社も、『心を透視する方法』(ドイツ語)、『サムスン式仕事の流儀』(韓国語)をはじめ、さまざまな言語の書籍翻訳をたくさん依頼していただいています。

そんな翻訳書編集部のまとめ役をなさりながら、版権担当としても
世界じゅうのブックフェアを回られている武田さん。

サンマークの本はなぜあんなに売れるのか?
その秘密をいろいろな角度から質問させていただきたいと思っています。

もうお一人は、大和書房編集部部長長谷川恵子さん
大和書房は、これまた今年、60万部以上を売り上げ、翻訳本でもっとも注目を集めた『フランス人は10着しか服を持たない』の版元さん。
翻訳本に力を入れたのはここ数年とのことですが、ほかにも『スタンフォードの自分を変える教室』といった話題の翻訳本を生み出しています。
弊社では、昨年来、フランス語や英語の翻訳本でお世話になっています。

長谷川さんご自身は、あの『体脂肪計タニタの社員食堂』の仕掛け人編集者さんでもあります。なんと、タニタ本はシリーズ累計で500万部以上売れたそうです。
いったい、どうやって500万部も売れる本の企画を考えられたのでしょう?
そんな長谷川さんが今後注目している翻訳本は……?
お聞きしたいことはたくさんあります。

数日前にお二人と打ち合わせをさせていただきました。
武田さんも長谷川さんも、自然体で気さくでお酒好き。
以前のお仕事がちょっとユニーク、そして大学時代は体育会の剣道部にいらした……という意外な共通点があることもわかり、ワイン片手の語らいは、時間の経つのが速かったこと速かったこと。

明日のセミナーでもきっと和やかな雰囲気のなか、書籍翻訳をめざす方々の希望となるようなお話をしていただけると期待しています!

(Y)

日本酒、きのこ、星、そして翻訳(第5回セミナー)

早いもので全8回のリベル書籍翻訳セミナー「フィクション編」も
折り返し点を過ぎ、次回第5回セミナー(11月1日)では、
科学系ノンフィクション翻訳の第一人者としてご活躍中の
斉藤隆央さんにご登壇いただきます。

斉藤さんは東京大学工学部工業化学科をご卒業後、
化学メーカーに勤めながら翻訳の勉強を始められ、その後翻訳家に転身。
いまや、「ポピュラー・サイエンスといえば斉藤隆央さん」「この人が訳した本なら買っておいて損はない」などと言われる翻訳家です。
翻訳者の名前で本が売れる翻訳家というのは、
いまの日本では数えるほどしかいないのではないでしょうか。

斉藤さんご自身はばりばりの理系出身者ですが、
斉藤さんが教えられている翻訳学校のポピュラー・サイエンス講座には、
文系出身者も多いと聞いています。
そのなかから翻訳家としてデビューし、
書籍翻訳の第一線で活躍している人も大勢います。

生物宇宙を中心に、数学物理化学など科学全般の
翻訳を手がけられている斉藤さんですが、
翻訳だけにとどまらず、日本酒きのこなど、
幅広いご関心をおもちです。
「日本酒アドバイザー」の資格もおもちとか。

今回のセミナーでは、
科学書翻訳の難しい点、おもしろい点などを存分に語っていただきます。
クイズ形式のお話もあるとのことです。
今から楽しみでなりません。

(S)

女性のチカラ(第4回セミナー)

昨今、女性が活躍している業種は増えていますが、翻訳の世界もそのひとつ。
弊社の登録翻訳者もセミナー受講者も、女性の割合が圧倒的に高いです。

「翻訳」という職種だけでなく「出版」の世界で見ても、女性の率はかなり高いのではないでしょうか。
実際に、弊社が日ごろお世話になっている翻訳本の編集者さんの半分は女性です。

偏見を恐れずに言えば、男性編集者さんは一人一人がいい意味でこだわりをもち、好きな分野で面白い本をつくろうとするのに対して、女性編集者さんは全体を俯瞰し、バランスよく戦略的に考えて本をつくろうとする……。
あくまで個人的印象ですが、そんな気がします。

ひと昔前まで、大手出版社のなかでも女性が多い部門といえば、女性向け雑誌や児童書……と相場が決まっていました。ですが、いまの時代、まったくそんなことはありません。
文芸だろうが、ノンフィクションだろうが、どのジャンルでも女性編集者さんが生き生きと仕事をしていらっしゃいます。

そして、弊社で飲み会をすると、最後まで飲んでしゃべって翌朝弊社から出勤される……という方も、なぜか女性が多いです(笑)

そんななか、「ビジネス本」を中心とするノンフィクション翻訳本を次々と世に送り出している、まさしく「敏腕女性編集者」さんおふたりにご登壇いただきます。

おひとりは、日経BP社中川ヒロミさん。
ビジネス本に強い日経BP社さんにあって、シリコンバレー関連本や、ジェフ・ベゾスやスティーブ・ジョブズにまつわる書籍といった、まさしくビジネス本の中核をたくさん手がけていらっしゃいます。
弊社ではここ2年ぐらいのおつきあいですが、一見やわらかでかわいらしい雰囲気の中川さん、仕事となるとそれはそれは鋭いキレモノ編集者さんです。メールの返信も速く、原稿のご指摘もいつも的確。さらにプロモーションや著者・訳者を巻き込んだイベントを考えられたりと、中川さんの手にかかれば、どんな本も話題作になる……といっても過言ではないでしょう。

もうおひとりは、CCCメディアハウス土居悦子さん。
弊社とは、CCCさんが「阪急コミュニケーションズ」という名前だったころからとてもお世話になっています。
土居さんは、ビジネス本だけでなく、自己啓発本、実用書、また和書と守備範囲が広く、社会の動向にアンテナを張りながら、時代を半歩リードするような面白い企画の本をたくさんつくられていまます。
翻訳本とはいえ、日本人読者に受けるようにと内容をうまくローカライズされるのも、土居さん本の特徴でしょうか。そして土居さんがつける書籍のタイトルはいつも秀逸。「へえ、そう来たか。書店でみんなが手にとりたくなるだろうなあ」と感心させられます。

そんな、エネルギッシュでキレモノのおふたりから、翻訳本編集のご苦労、そして翻訳そのものについても鋭いご指摘をたくさんきけるのではないかと期待しています!

(Y)

トップランナー(第3回セミナー)

書籍翻訳セミナー「ノンフィクション編」
第1回ではタトル・モリ エイジェンシーの玉置真波さん、
第2回ではNHK出版の松島倫明さん、飛鳥新社の品川亮さんにご登壇いただき、
それぞれエージェント、編集者のお立場からお話をうかがいました。

10月4日(日)の第3回では、
いよいよ翻訳家の田内志文さんにお話しいただきます。

田内さんは、翻訳家、作家、スヌーカープレイヤー、翻訳会社経営者など多彩な顔をもち、どの分野でも大活躍されています。

田内志文さん

たとえばスヌーカーでは、アジア選手権、世界選手権の日本代表をつとめられたこともあります。
作家としては、『辞書、のような物語』(大修館書店)所収の短編「レネの村の辞書」が印象的です。
オープンカーが似合う経営者でもあります(実際に緑色のオープンカーに乗っていらっしゃいます)。

翻訳家としては、フィクションからノンフィクションまで手がけられ、
カウフマン『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』、コナリー『失われたものたちの本』(ともに東京創元社)など、ご自分で原書を発掘され、出版社に企画を持ち込んで話題作を生み出すことにもたけていらっしゃいます。

SNSでの情報発信、朗読会や、読者向けのイベント「しましょう、本の話」の開催など、田内さんのご活躍ぶりを拝見していると、「熱い男」という表現が思い浮かびます。

つねに翻訳家のトップランナーとして走りつづける田内さんが
日曜日のセミナーでどんなお話をしてくださるのか、今から楽しみでなりません。
今回はいつにもまして、熱気に満ちたセミナーになりそうです。
ご期待ください。

田内さんの訳書――

失われたものたちの本道は開ける
左:失われたものたちの本(ジョン・コナリー著、田内志文訳、東京創元社、2015年9月刊)
右:新訳 道は開ける(D. カーネギー著、田内志文訳、角川文庫、2014年11月刊)

(S)

「選ぶ」楽しみ、「つくる」楽しみ、「売る」楽しみ

書籍翻訳セミナー「ノンフィクション編」第1回では、タトル・モリ エイジェンシーの玉置さんがご登壇くださいました。
こういう席で話すのは初めてとおっしゃっていた玉置さんですが、
「海外の著者から翻訳者まで、そして書店や読者までを含めたひとつの“エコシステムのような循環”がよい作品をつくりだす」
「海外で刊行される2年前ぐらいにすでに版権エージェンシーが動いている」
などなど、刺激的で貴重なお話をたくさんうかがえました。

明日の第2回「出版の現場から Ⅰ」
NHK出版の松島倫明さんと飛鳥新社の品川亮さんにお話しいただきます。

NHK出版さんといえば、弊社リベルを立ち上げた当初から仏語や韓国語の書籍で大変お世話になっています。
松島さんと初めてお会いしたのは、10年以上前、フランクフルトのブックフェアで。
その晩、NHK出版vsリベルで飲み明かしました。
あまりに楽しかったので、東京に戻ってもすぐに同じメンバーで集まって飲みなおしたほどです。
そのときはまだ「翻訳班に来たばかりです」とおっしゃっていましたが、穏やかで落ち着いた物腰で独特のオーラを放っていらっしゃったのをよく憶えています。
そしていまや、まさしくカリスマ編集者。
独自のプロモーションで話題になった『FREE』をはじめ、『MAKERS』『SHARE』、最近では『ZERO to ONE』など話題作を次々に世に出していらっしゃいます。
ここ数年、ノンフィクション出版翻訳忘年会で、今年のベスト作品の担当編集者として毎回壇上にいらっしゃるところを遠くから眺めていたのですが、
最近また、松島さんのご依頼で何作もお仕事させていただき、うれしいかぎりです。

飛鳥新社の品川さんとの出会いは、フランスの青年が手書きの絵と文で東京のあちこちを紹介する『東京散歩』という作品の翻訳を依頼していただいたのがきっかけです。
打ち合わせに伺うと、帰り際に「最近出しました」と本を一冊いただきました。
『絶望名人 カフカの人生論』
帰りの地下鉄の中で読んで、すっかりハマりました。
こんな企画を考えつき、こんなおしゃれな本をつくる品川さんってどんな方なんだろう?
オフィスに戻ってさっそくネットで検索してみたところ、以前は、一世を風靡したカルチャー雑誌『STUDIO VOICE』の編集長さんだったとわかりました。
映画監督としてもお名前がでてきました。
たしかに品川さんが編集された作品には、『ウォーキングデッド』というアメコミをはじめ、ビジュアルとテキストが見事に合体しているものがたくさんあります。先ほどのカフカ本や『試験に出ない英単語』など、凡人ではとても思いつかないようなユニークな発想の話題作もいろいろ手がけていらっしゃいます。

このお二人にいっしょにご登壇いただこうと思ったのは、
今という時代を読みながら、自分のこだわりで原書を「選び」、作品を「つくり」、その本を「売る」。そのどれをも、とても楽しみながら翻訳本を世に送り出しているという点で、お二人が似ていると思ったからです。

はたして講師をお願いすると、松島さんは「品川さんと一度お話ししたかった!」とおっしゃり、品川さんも「松島さんにはたくさんおききしたいことがあります」と、お二人とも即、快諾してくださいました。

明日、どんなお話が飛び出すか、楽しみで仕方ありません。

(Y)

ノンフィクション編 いよいよ開講

明日からリベル書籍翻訳セミナー『ノンフィクション編』を開講いたします。

今回の受講者のなかにはフィクション編にいらしてくださった方も多く、弊社が講師を務める回もできるだけ「フィクションとの違い」を中心にお話するつもりです。

そして今回もまた、特別講師の方が多数ご登壇くださいます。

明日の第一回は、タトル・モリ エイジェンシーで長年ノンフィクションを担当していらっしゃる玉置真波さん。
版権エージェントからみたノンフィクション翻訳出版の現状」をお話いただきます。

ノンフィクション翻訳本を手がけている出版社の方ならまず、版権エージェント玉置さんのお名前を知らない人はほとんどいないのではないでしょうか。
数々のヒット作を扱っていらっしゃった玉置さんがセミナーや講座でお話されることはめったにないそうです。
何人もの編集者さんから「玉置さんがお話されるんですか? 聞きたいです!」と言われました。
まして、日ごろエージェントと接する機会がほとんどない翻訳者にとっては、間違いなく貴重なセミナーとなるでしょう。

弊社でもときどき、玉置さんから「よかったら大至急読んでみてください」と多言語の作品のリーディングを依頼していただくことがありますが、たしかに「売れ筋」と思えるものばかり。

「ノンフィクション」という幅広いジャンルのなかからどのように話題作を発掘するのか、またエージェントと出版社や翻訳者の関係についてなど、お聞きしたいことがたくさんあります。

どんなお話が飛び出すか、スタッフ一同、期待を胸に、今日もまだ遅くまで準備に追われています。

(Y)

 

十年一剣を磨く

書籍翻訳者として仕事をするにあたって、
手元に置いておきたい書籍の紹介、第2弾です。
今日ご紹介するのは、

講談社校閲局編
日本語の正しい表記と用語の辞典 第三版』(講談社)

日本語の正しい表記と用語の辞典

 

です。

マスコミ各社から、いわゆる用字用語集と呼ばれるものが刊行されています。
たとえば、
『記者ハンドブック 第12版 新聞用字用語集』(共同通信社)
『NHK漢字表記辞典』(NHK出版)
『朝日新聞の用語の手引き』(朝日新聞出版)
『毎日新聞用語集』(毎日新聞社)
『読売新聞用字用語の手引き』(中央公論新社)
など。

なかでも、講談社の社内用資料集を一般に公開するかたちで刊行された
『日本語の正しい表記と用語の辞典 第三版』
は、新聞社や通信社から刊行されている用字用語集とは違って、書籍用の表記基準が示されているので、書籍の翻訳に携わるのであれば、まず備えておきたい一冊です。

この本はとくに、「数字の書き方」(113~186ページ)が充実しています。
数字の表記に迷ったら、『日本語の正しい表記と用語の辞典』を参考にすれば、
たいていのことは解決するはずです。

ところで、数字といえば、

十年一剣を磨く

という言葉をご存じでしょうか。
中国唐代の詩人、賈島(かとう)の詩の一節に出てくる言葉です。
書籍翻訳者デビューをめざして、日々、剣を磨きつづけている方も多いと思います。
これからも、その剣を磨くために役立つ情報を、折に触れてこのブログでお届けしたいと思います。

ちなみに賈島は、「推敲」の故事でも知られています。
次回は、推敲や校正にまつわる話題を取り上げようと思います。

(S)