今月の新刊4冊目(2017年5月)

united states of america 『アジアの終わり――経済破局と戦争を撒き散らす5つの危機』

アメリカの保守系シンクタンク気鋭の日本部長がアジアの危機を警告する、話題書の邦訳版が刊行されました。トランプ政権発足後、アメリカで多くの人に読まれているアジア分析書です。

徳間書店刊

徳間書店刊

著者のマイケル・オースリンは、イェール大学の元准教授(歴史学)で、現在はワシントンD.C.のアメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(AEI)の日本部長。

本書では、アジアのリスクマップを作成し、(1)経済成長の失速、(2)人口問題、(3)未完成の政治革命、(4)政治的共同体の欠如、(5)戦争の脅威という5つのリスクについて分析しています。

時代を読み解くヒントがぎゅっと詰まった一冊です。
ぜひ手に取ってみてください。

(S)

今月の新刊3冊目(2017年5月)

denmark 『特捜部Q 吊された少女』

デンマークを舞台にした警察小説「特捜部Q」シリーズ。
第6巻の『吊された少女』が早くも文庫になりました。

早川書房刊

早川書房刊

ある日、特捜部Qにひとりの老警官から電話が入る。カールは電話の内容を真面目にとりあわなかったが、その直後、老警官が自分の退官式で自殺したと知る。彼は17年前の痛ましい事件に取り憑かれていたらしい。美しい少女がひき逃げされ、そのあとで木から逆さ吊りにされていた事件だ。
事件を調べるカールとアサドは、怪しげな新興宗教団体に近づいていく……。

このシリーズの魅力は、毎回、凄惨な事件を追いながら、現代の北欧が抱える社会問題の暗部が暴かれるという点。今回は〈人と自然の超越的統合センター〉という、いかにもありそうな名前のスピリチュアル集団​の教祖をめぐっておぞましい​​事件​が起きます​。
そして、この巻でも少しずつ、カールやアサドの謎の過去が明らかになっています。

そういえば、先日訪れたストックホルムでは、どこの書店でも、いちばん目立つところに特捜部Qがでーんと並べられていました。第7巻のスウェーデン語版が出たのでしょうか。
北欧でもいま最も人気のシリーズのようです。
日本でも、年末には第7巻を読者のみなさんにお届けできそうです!

(Y)

今月の新刊2冊目(2017年5月)

united states of america 『美女と野獣』

5月の新刊第二弾は、『美女と野獣――運命のとびら』(上・下)です。

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小学館刊

エマ・ワトソン主演の実写映画も大ヒット中の『美女と野獣』。
こちらは、〝もうひとつの〟『美女と野獣』です。

出かけたまま帰らない父親を心配して探しに出たベルは、
森の奥のふしぎな城で、父親を捕らえていたビーストと出会う。

父親の代わりに囚われの身となったベルは、
城のなかを探るうちにビーストにかけられた呪いの秘密を知る。

そこには、過去の恋の物語と魔法の王国を襲った悲劇、
そしてなんと、ベルの母親が大きくかかわっていて……。

過去と現在が交錯する重厚なストーリー。
ハラハラドキドキしたり、ゾッとしたり、胸がキュンとなったり……
読み終わったときには勇気が湧いているにちがいありません。

ディズニー版でおなじみのキャラクターも大活躍!
(もちろんポット夫人とチップも)

『美女と野獣』が大好きな人もよく知らない人も楽しめる、感動巨編です。

(N)

 

今月の新刊1冊目(2017年5月)

united states of america 『ママがほんとうにしたかったこと』

家族と本が大好きなアリスは、夫と3人の子供と暮らすパート編集者。
ある日突然、夫が失業し、アリスはフルタイムで働くことに。いつしか家事はおざなり、育児はシッター任せ、夫はいまいち頼りにならず、子供との関係も微妙になる……。

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小学館刊

毎日、子育てと仕事に追われているワーキングママはもちろんのこと、アメリカ女性の働き方に興味のある人、家族との悩みを抱えている人、そして本の未来を憂う人たちにも読んでいただきたい一冊。
「あるある」「わかるわかる」とうなずきながらも、じーんと胸に来ます。

家族が描かれている装丁も爽やか。
表には「私」と子供たち、裏表紙には両親、そして夫の姿は・・・・・・!?

(Y)

今月の新刊3冊目(2017年4月)

japan 『坂茂の建築 材料・構造・空間へ』

建築家、坂茂(ばん・しげる)の作品集、決定版!

TOTO出版刊

東京、パリ、ニューヨークに事務所を構え、国境を超えて活躍する建築家、坂茂。2014 年には建築界のノーベル賞ともいわれるプリツカー賞を受賞し、いま世界で最も注目される建築家のひとりです。

独自のアイデアが詰まった初期作品をはじめ、世界的に注目を集める木造の大架構空間、紙管を用いた被災地での仮設建築など、同時代の建築家とは一線を画す幅広い活動が紹介されています(日英併記)。

今回、弊社は英文校正のお手伝いをしました。

(S)

今月の新刊2冊目(2017年4月)

france 『人生を変えるレッスン』

最近、こんなことはありませんか?

・やる気がでない。
・ふとした瞬間にむなしくなる。
・わけもなくいらいらする。
・物質的には恵まれているのに、幸せだとは思えない。

ひとつでも当てはまる人は、ぜひこの本を読んでみてください!

サンマーク出版刊

サンマーク出版刊

主人公のカミーユは38歳の女性。愛する夫と息子がいて仕事も安定しているのに、なぜか自分が幸せだと思えない。
ひょんなことから出会った男性に悩みを打ち明けると、彼はこう言った。

「きみはきっと深刻な〈ルーティン症候群〉にかかっているんだ」

彼から一風変わった〈ルーティン学のメソッド〉を受けることによって、カミーユは少しずつ本来の自分を取り戻していき、毎日がどんどん明るくなっていく……。

ルーティン症候群とは? そのメソッドとは?

新しい生活がはじまる春、前向きな気持ちで一歩踏みだしたいときにぴったりの一冊です。

(K)

今月の新刊1冊目(2017年4月)

france 『うごかす!めくる! 宇宙』

今月の新刊1冊目は、『うごかす!めくる!こうじげんば』につづく、しかけ絵本シリーズ第2弾です。

パイインターナショナル刊

パイインターナショナル刊

フランスのイラストレーターによるかわいらしいイラストと、宇宙飛行士や天文学者に直接取材した本格的な内容。発売後わずか2か月で世界累計販売部数が8万部を超えた話題作です。

こちらで紹介動画をご覧になれます。

地球が丸くふくらむページも。
It’s a small world after all…と歌いたくなってきます。

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「国際宇宙ステーション」のページでは、宇宙飛行士が船外活動中!

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おとなも子どももワクワクすること請け合い。
つい何度もページをめくりたくなる、楽しい絵本です。

(N)

今月の新刊2冊目(2017年3月)

united states of america 『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』

2017年1月にドナルド・トランプが第45代アメリカ合衆国大統領に就任して以降、アメリカで読まれつづけている本があります。“Hillbilly Elegy: A Memoir of a Family and Culture in Crisis”は、2016年6月にアメリカで刊行され、現在でもAmazon.comで総合5位とベストセラーリストの上位にランクインしています。

その待望の邦訳版『ヒルビリー・エレジー』が、今月刊行されました。

光文社刊

光文社刊

英エコノミスト誌は本書を「2016年に出版された本のなかで、アメリカを知るためにもっとも重要な一冊」と評しています。

著者のJ・D・ヴァンスは、名門イェール大学ロースクール出身の弁護士。現在はシリコンバレーの投資会社のプリンシパルとして働いています。

失業、貧困、離婚、家庭内暴力、ドラッグが蔓延するアメリカ中西部の町で、貧しく苦しい家庭環境で育ったヴァンスは、どのようにしてアメリカンドリームを実現したのでしょうか。ドナルド・トランプの強力な支持基盤となった「ヒルビリー」とは、いったいどんな人たちなのでしょうか。貧困にあえぐ白人労働者階層の実態は?

……などなど、本書には、アメリカの現実が鮮やかに描かれています。

しかもその内容は、アメリカ人にとってさえ衝撃的なものでした。だからこそ、アメリカで一年近くもベストセラーリストの上位に名を連ねているわけです。

日本の皆さんにも、ぜひ読んでみていただきたい一冊です。

(S)

今月の新刊1冊目(2017年3月)

germany 『哲学のきほん――七日間の特別講義』

『あなたを変える七日間の哲学教室』が文庫化されました。

早川書房刊

早川書房刊

哲学ってなに?
人生の意味、道徳の正義、人間はどこまで「知る」ことができるか……。
そういった「問い」について、​1​日1テーマ、7日間かけて哲学者と対話しながら考えていく本です。

日本では「哲学」というと、小難しいもの、大学でしか学べないものと思われがちです​が、この本は、わかりやすい言葉でひとつひとつ階段を上るように「哲学的考察」に導いてくれます。

いつのまにか、ソクラテスもヴィトゲンシュタインも身近な存在に……。
まさに、楽しみながら「哲学のきほん」が学べます。​

(Y)

今月の新刊9冊目(2017年2月)

sweden_2 『制裁』

2月は短く、気がつけば月が変わってしまいました……。
遅ればせながら2月新刊の最後の作品は『制裁』です。

北欧ミステリ最高の〈ガラスの鍵賞〉を受賞した、警察小説「グレーンス警部」シリーズの第一作。
日本では2007年に出版されたのですが、版元の倒産によって絶版になっていました。
このたび、早川書房から、ファン待望の復刻版が刊行されました!

早川書房刊

早川書房刊

著者はアンデシュ・ルースルンドとベリエ・ヘルストレム。
ルースルンドといえば、昨年末に日本のミステリ関連の賞を総なめした『熊と踊れ』の作者で、『制裁』執筆当時はテレビ局のジャーナリストでした。
一方のヘルストレムは、13歳から麻薬を覚え、服役経験もあり、元囚人の社会復帰をサポートする団体の設立者。

ルースルンドは、刑務所についての番組の取材でヘルストレムと知り合いました。
ドキュメンタリー番組制作後も、二人はカフェでスウェーデンの刑務所制度や犯罪者の更生について議論しあい、ついに共著で小説を書くことに……

こうして誕生した「グレーンス警部」シリーズ、スウェーデンでは第7作まで発表されています。
日本でもミステリファンに人気の高い『三秒間の死角』はその5作目にあたります。制裁の復刻版をきっかけに、7作すべてが日本で刊行されますように!

なお、本年2月17日、ベルエ・ヘルストレムは2年間のがん闘病の末、亡くなられたそうです。とても残念です。

(Y)