今月の新刊8冊目(2017年2月)

united states of america 『ドライバーレス革命――自動運転車の普及で世界はどう変わるか?』

近い将来、車は、人間並みに安全に移動できる能力を持つようになるそうです。
ドライバーレス・カー(ドライバー不要の完全自動運転車)の普及で世界はどう変わるのでしょうか。

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「すぐそこまで来ている、自動運転社会の疑問にすべて答えます!」

  • 自動運転車が走り始めるのはいつ?
  • 既存の自動車メーカーは生き残れる?
  • 自動運転車はどんな仕組みで動くのか?
  • 人の運転に比べてどの程度安全か?
  • 自動運転車産業の覇者は誰か?

……など、自動運転社会を理解するために必要な知識が、ぎゅっと詰まった一冊です。
本書を通して、あなたも近未来の世界を覗いてみませんか。

(S)

今月の新刊7冊目(2017年2月)

france 『貧困の発明』

副題は「経済学者の哀れな生活」。
帯には、「トマ・ピケティ絶賛」や「フランス経済学者の問題作」とあり、経済関連のノンフィクションと思いきや、これはれっきとしたフィクション、フランス人ならではのシニカルマインド満載の小説です。

早川書房刊

早川書房刊

113章という細かい章で構成されていますが、
章ごとに、ニューヨーク、ケープゴッド、ハノイ、ベナンと舞台が変わり、
章ごとに、主人公も変わり(しかも、主要登場人物のうち何人かは実在の著名人をモデルにしているとすぐわかります)、
章ごとに、現在から過去、過去から現在と時制が変わり、
章ごとに、いえ、ときには同じ章のなかで、現実から妄想、妄想からまた現実に変わる。
そして、読んでいると突然、えっ?というイラストも……

ブラックユーモアなどという言葉ではとても言い表せない「破天荒」さで、国連の欺瞞、開発援助の世界の欺瞞、人間の欲望を描きだします。

まさしく「常識はずれ」の一冊。
ぜひ、読んでみてください!

(P)

今月の新刊6冊目(2017年2月)

united states of america 『マリー・アントワネットの髪結い――素顔の王妃を見た男』

森アーツセンターギャラリーで開催中の「マリー・アントワネット展」も大盛況のようですが、そんななか刊行されたのが、こちら!

原書房刊

原書房刊

マリー・アントワネットの髪結い、レオナール・オーティエの生涯にスポットを当てた『マリー・アントワネットの髪結い――素顔の王妃を見た男』です。

髪を塔のように高く結い上げたり、頭のてっぺんに軍艦の模型をのせてみたり……奇抜なスタイルを次々に考案して、当時のモードをつくりだしたレオナール。

髪結いというのは、王侯貴族のプライベートをかいまみることのできる特別な職業でもありました。王妃マリー・アントワネットも、レオナールには心を許していたといいます。

そんなレオナール・オーティエの回想録をもとに描かれたのが、本書です。激動の時代をほかにはない視点から描き出す力作。歴史ノンフィクションというジャンルではありますが、物語として非常にドラマチックで、映画のように映像が思い浮かびます。

(N)

今月の新刊5冊目(2017年2月)

germany 『マヌエル・ノイアー伝記』

サッカー・ドイツ代表の正GK(ゴールキーパー)であり、世界最高のGKと評されるマヌエル・ノイアー。

ノイアーはゴールを守るだけでなく、攻撃の組み立てにも加わります。
足元の技術の高さ、リベロのようなプレースタイル…現代サッカーが求めるGK像を体現するそのプレースタイルは、いったいどのように生まれたのでしょうか。

その秘密が本書で明かされています。

実業之日本社刊

実業之日本社刊

ノイアーといえば、ブンデスリーガ・シャルケ04で活躍する内田篤人選手のかつてのチームメートでもありました。現在、ノイアーはシャルケ04を離れ、バイエルン・ミュンヘンで活躍しています。

子ども時代から現在まで、ノイアーの魅力がいっぱい詰まった一冊です。

(S)

今月の新刊4冊目(2017年2月)

denmark 『凍てつく街角』

デンマーク発の警察小説の新シリーズ第1作。

コペンハーゲンの中央署の刑事ラウンは、ある事件がきっかけで休職を言い渡され、酒場で酔いつぶれる毎日。ある日、友人から、行方不明になっているリトアニアの若い女性を探してほしいと依頼される。その女性の失踪には、国際的な犯罪組織が絡んでいた……

著者は、もともとショートフィルムやテレビ番組のプロデューサーで、デンマークではテレビドラマの脚本家としても有名とか。
多彩な登場人物を配し、加害者と被害者、追うほうと追われるほうのドラマが同時進行していく巧みな場面転換は、たしかに映画をみているようで、400ページ弱のボリュームもあっという間です。

早川書房刊

早川書房刊

デンマークの警察小説といえば、日本でも「特捜部Q」シリーズが人気。
“過去のトラウマ”を抱えた警察官とひと癖もふた癖もある友人たちが難事件に挑んでいくという点ではこちらも同じですが、移民・人身売買・麻薬……といった、北欧のさらにディープな裏社会をドラマチックに描いています。

北欧ミステリーにまた魅力的なシリーズが誕生しました。

(Y)

今月の新刊3冊目(2017年2月)

france 『ヴェルサイユ』

2月の新刊3冊目は『ヴェルサイユ』。
BBCのドラマシリーズ『Versailles』のノベライズ版です(ちなみにこのドラマ、イギリスでは「史上最高にセクシーなドラマ」と言われているとか。すでにシーズン3まで制作されることが決定しているそうです)。

小学館刊

小学館刊

豪華絢爛なヴェルサイユ宮殿を建てた〝太陽王〟ルイ14世、兄に対して屈折した思いを抱く弟のフィリップ、フィリップの妻でルイ14世の愛人でもあるアンリエット、なんとか王の寵愛を得ようと画策する宮廷の女たち……。

個性豊かな登場人物が、陰謀うずまく華やかな宮廷で人間ドラマを繰り広げます。

小説版も、スピード感のある展開でぐいぐい読ませます。
文字で読むと歴史的な背景もわかりやすく、骨太な大河ロマンとしての魅力はドラマ以上かもしれません!

(N)

今月の新刊2冊目(2017年2月)

france 『簡素な生き方』

ここ数年、世の中は「モノを減らそう」ブーム。
世界的に大ヒットした片付け本もあれば、いつのまにか「断捨離」とか「ミニマリズム」といった言葉が市民権を得ています。

昔に比べて現代はモノが多すぎるんじゃないの? なんでも複雑にしすぎるんじゃなの? シンプルなほうが幸せなのに……と考えるのは、なにも21世紀になってからのことではないようです。

講談社刊

講談社刊

『簡素な生き方』(原題 La vie simple =シンプルライフ )の原書が刊行されたのは、なんと120年前。日本では明治時代です。
フランスの元牧師さんによって書かれ、ときのアメリカ大統領ルーズベルトに絶賛されて、あっという間に欧米でミリオンセラーになったそうです。
100年以上前のこの元祖シンプルライフ本は、いま読んでも共感できることばかり。

日本でも既訳がありますが、今回の新訳版はぐっと現代的で読みやすくなっています。
表紙も帯も見返しもすべてモスグリーン。装幀もそれはそれは「簡素」ですてきです。

(S)

今月の新刊1冊目(2017年2月)

great britain 『紙と人との歴史――世界を動かしたメディアの物語』

英国王立文学協会 ノンフィクション部門 ジャーウッド賞受賞作!

原書房刊

原書房刊

紙は、その発明以来、さまざまな思想や宗教の運び手となってきました。東は仏教とともに朝鮮半島を経て日本へ、西はコーランとともにイスラムやアラブを経てヨーロッパへ。聖書も文学も楽譜も、そして政治的声明も、紙が伝えて世界に広まりました。

イギリス出身で中国を専門とする著者、アレクサンダー・モンローが、メディアとしての紙の歴史をドラマチックに描く一冊です。

(S)

今月の新刊(2017年1月)3冊目

アメリカ 『接続性の地政学――グローバリズムの先にある世界』

今月の新刊3冊目は、ポスト・グローバリズムの新しい世界像を提言する全米ベストセラー。

原書房刊

原書房刊

グローバル戦略の専門家であり、世界経済フォーラム「若き世界のリーダー」にも選ばれた俊英パラグ・カンナ

『「三つの帝国」の時代』『ネクスト・ルネサンス』に続く邦訳書となる本作では、「接続性(connectivity)」をキーワードに、グローバリズムの先にある世界を解き明かします。

世界的に注目されている若き論客の議論に、しばし耳を傾けてみませんか。
今日から、世界を見る目が変わること請け合いです。

(S)

 

今月の新刊(2017年1月)2冊目

アメリカ 『チェ・ゲバラ名言集』

キューバ革命の英雄、チェ・ゲバラ。
今年は「ゲバラ没後50年」なのだそうです。

原書房刊

原書房刊

ゲバラといえば、星のついた帽子をかぶったり、葉巻をくわえている肖像写真を思い浮かべますよね。
フォトジェニックなイケメンぶりもあいまって、日本でもいまだに、ゲバラの顔をプリントしたTシャツ、スマホケース、ライターなどが人気です。
彼の若い頃を描いた映画もヒットしました。
行動する革命家として、ゲバラは昔も今も、反体制を標ぼうする若者のまさにアイコンのような存在なのです。

本書は、そんなゲバラの発言集。
革命直後の1959年からゲバラがキューバを去ったあとの1967年までの、演説、新聞・雑誌記事、インタビュー、書簡から抜粋したゲバラ本人の言葉を集めた貴重な記録です。

どんな人物も、伝説の存在としてカリスマ化されていくとその実像が見えにくくなるものですが、本書を読むとゲバラが何を考えていたのか、何を大切にしていたのかが直接伝わってきます。

(Y)