いま最も話題のフランス女優、イザベル・ユペールがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、みごとゴールデン・グローブ賞に輝いた話題の映画『ELLE』。
これは、その原作です。
50代のミシェルは、親友のアンナと番組制作会社を経営している。パリ郊外の一軒家に独り暮らしの彼女は、ある日、家に押し入ってきた覆面の男にレイプされる。直後に、「またやるぞ」というSMSが送られてきた。犯人はいったい誰なのか……。
離婚した元夫、独り立ちできない一人息子、息子の嫁(別の男とのあいだの子を産もうとしている)、何十歳も年下の男を家に連れ込んでいる高齢の母親、親友のアンナ、アンナの夫、向かいに住む夫婦……などなど、登場人物はひと癖もふた癖もありそうな人物ばかり。
こう書くと、いかにもミステリー小説のようですが、単なる犯人探しや謎解きの物語ではありません。
むしろ、犯人がわかってからの展開になんともいえない怖さが……。
映画では、イザベル・ユペール演じる主人公をはじめどの女性も不気味なほどしたたかに描かれていて、そこが面白いのですが、原作では、一人一人の登場人物とのミシェルとの関係や心理的葛藤がもっと深く丁寧に描かれている分、映画より共感をもって受け入れられるのではないでしょうか。
映画を観てから原作を読むもよし、小説を読んでから映画を観ても楽しめます!
(Y)