好評につき……その2 書籍翻訳ワークショップ

いつもは、打ち合わせや、仕事で遅くなったスタッフのお泊まり部屋として使われているリベルのミーティングルームが、ここのところ土曜の午後は、翻訳をめぐる議論を闘わせる10名近くの人の熱気に満ちています。

翻訳本の編集者として、また翻訳家としても長年ご活躍の染田屋茂氏を講師として開講した「書籍翻訳ワークショップ 《ノンフィクション編》」
スキルチェックで選ばれた6名の受講者が1冊のノンフィクションを分担して訳し、それを実際に書籍にまとめていく講座です。

6名で分担とはいえ、原書にして1人あたり60ページを担当回までに訳してこなければなりません。
数枚のトライアルや課題を訳すのとは違い、書籍翻訳の現場の厳しさをここでまず実感します。

そして毎週、担当者の訳文をたたき台に、講師、受講者、そしてリベルからも2名ぐらいが参加して意見が飛び交います。
原文の解釈、日本語の表現はもとより、専門用語の書き方、単位の表記法や漢字の閉じ開きまで、実際に本になることまで考えると、ふだん翻訳の勉強をしているだけでは気づかないことはたくさんあります。 続きを読む

好評につき……その1 リーディング講座

3月に開講した通信講座「仕事につながるリーディング」
おかげさまで第2期開講の問い合わせがとても多く、現在、第2期の募集中です。

この講座では、テキストと課題原書をお送りし、2冊分のリーディングをしていだだき、送られてきたシノプシスを随時添削して戻しています。

シノプシスは、長いより短くまとめるほうがずっと難しい。

ですがみなさん、かなりボリュームのある課題作品もなんとか10枚以内にまとめています。
著者プロフィールを調べ、読後感で類書のことに触れ……。
ふむふむ、テキストをきちんと読んでくださっているなんだなあ、とよくわかります。

それでも細かく見ていくと、気になるところがどんどん出てきます。
著者についての大事な情報が入っていなかったり、あらすじに些末なことが多く全体の流れがわからなくなっていたり、硬すぎる表現や一般書ではあまり使われない漢字が使われていたり……問題点も人それぞれです。

日本語で不自然なところは変更履歴付きで赤字を入れ(あくまで参考です)、注意してほしいところにはコメントを付けているのですが、どのシノプシスにも少なくとも40~50ぐらいのコメントが付きます。
(ただし、まとめ方がうまいところにもコメントを入れているので、必ずしもコメントの数が少ないほうがいいというものでもありません)
そして、最後にそれぞれの注意点やアドバイスを講評としてまとめています。

添削後、コメント付きのワードファイル(データ)で返却します。

添削後、コメント付きのワードファイル(データ)で返却します。

1冊目は共通課題。
何人もが同じ作品をリーディングしているので、それぞれのシノプシスの長所も欠点も、その翻訳者さんの個性もよくわかります。 続きを読む