オーストラリア(人口約2499万人)
徐廷美
①現在(執筆時)の新型コロナウイルスの感染状況について教えてください。
昨年、2021年6月のレポートでは、1日の新規感染者が数十人にとどまっていると述べたが、オミクロン株の影響からか、12月中旬から徐々に感染者が増加した。そして今年1月に入るとその数は急激に増え、中旬には1日の新規感染者が15万人に上るまでとなった。その後減少傾向を見せ、2万人前後まで下がったところで、3月中旬より再び上昇を見せ(これはオミクロン株BA2の影響かどうかはっきりしない)、現在は5万人前後で推移している状況だ。
感染者の多くは20代であり、次いで30代、40代だが、10代の感染者も多い。コロナによる死亡者数は、やはり70代以降に集中しており、80代が最も多い。だが、4月15日現在、ICUに入院している全国の重症者は129人で、医療現場において脅威とはなっていない。ワクチン接種2回完了者は人口の83.4%で、3回目のワクチンについては61.7%が接種を終了している。
②現在の生活のなかで、コロナウイルス関連で規制や制限されていること、義務付けられていること、支援されていることなどはありますか?
オーストラリア政府は従来、厳しいロックダウン政策をとってきた。国境も完全に封鎖し、オーストラリア国民と永住権保持者以外の入国を認めてこなかった。ところがイギリスなどヨーロッパ各国に倣ったのか、昨年10月15日にはロックダウンを終了した。一部公共施設でのマスク着用を求める以外は、大人数での集まりも制限しなくなり、現在はほぼコロナ以前の生活に戻っていると言っても過言ではない。
今年2月18日には水際対策もゆるめて、留学生やビジネスマンだけでなく、一般観光者の入国も可能になった。飲食店の営業制限もなくなり、スマートフォンによる入店チェックも入店者の追跡も現在は行われていない。教育現場も小学校から大学まで、全て対面授業となり、マスクの着用も義務づけられてはいない。
④近況や思い、今後の見通しなど、ご自由にお書きください。
人々はすでにウィズコロナ政策を受け入れ、感染をそれほど恐れているような様子は見られない。このイースターホリデーは街も活気にあふれ、海外旅行を楽しむ人々が急増したと言われている。病院、高齢者施設等では、コロナ感染対策を行っているが、他の感染症と同様のレベルの予防策、ケア方法であり、コロナだけを特別に恐れる雰囲気はなくなりつつある。今後も、経済の復活を目指したい政府のコロナ政策に大きな変化はないと思われる。
徐廷美(そ・じょんみ):2014年からオーストラリア・シドニーで7年生活し、日豪両国の看護師資格を取得。現地の大学院で看護学を専攻後、現在は日本で大学教員