コロナ終息に向けて:各国レポート第三弾(12)台湾

taiwan

台湾(人口約2357万人)

メリー・ジェーン

①新型コロナウイルス感染状況について、いまはどうなっていますか?

コロナに苦しむ多くの国に比べ、台湾はコロナ予防の模範生だと言っても過言でもありません。いままで、台湾の人々は1年近くも平穏な日々を過ごしてきました。ところが今年の4月に中華航空のパイロットの感染により、全国で多数のクラスターが発生し、台湾国内の感染者数が急増しました。

5月11日に7件の国内感染が確認された後、12日に16件、13日に13件、14日に29件の国内感染が確認されました。これまでの感染は、ほとんどが海外での感染でしたが、この4月末で状況が一変しました。

今は台北のどこに行ってもほとんど人の姿を見ることがなく、昨年からすると、想像できないことです。

台湾3−1

感染経路をトラッキングするため、政府は「実名制」という新しい制度を導入しました。台湾の国民がコンビニやスーパーで買い物をするとき、QRコードをスキャンして無料防疫ホットラインにショートメールを送ったり、その場で自筆でサインしたりして個人行動履歴を残すという制度です。それをしないと、罰金が科せられます。

また、屋外でマスクを着用していない場合、検挙されたら即罰金となります。マスクを外してタバコを吸っただけで数万円の罰金を科せられた人がいるというニュースも見ました。台湾はまさに罰金を科すことで、昨年の第一波をロックダウンといった方法をとらずに平和的に乗り切ったのでしょう。しかし現在、新北市はほとんどロックダウンの状態になっており、いつも私が通っているジムも5月末まで休業しています。

現在、毎日約500人がPCR検査の結果コロナ陽性と診断され、その多くに変異種のウイルスが確認されています。この文章を書いている時点(2021/5/28)では、全国で累積7,315件の感染が確認され、78名の方が亡くなっているようです。

②ワクチン接種については、どのように進められ、現在(執筆時点)、どのような状況ですか?

率直にいうと、罰金を科すよりも、国民のワクチン接種率が高くならないとコロナの終息は無理だと個人的には思っています。台湾は政治の関係でWHOに加入できないので、防疫に関する最新情報の多くが共有されていないことに加え、ワクチンも国際的に入手できません。現在、国民の接種率は世界でも最低レベルの約1パーセントしかなく、これは日本よりもさらに低い値です。それにもかかわらず、与党は中国からのワクチンの受け入れに強く反対しています。 時々、「ウイルスより人、政治が怖い」と本気で思うことがあります。

今日は6月に日本が台湾にワクチンを寄付するという話を聞きましたが、これが正しいニュースであることを願っています。

③現在(執筆時点)、国や自治体からの規制や制限、援助がありますか?

今ではほとんどの企業に勤める人が在宅勤務をしています。外でマスクを外すと罰金を科せられるので、昼食時にマスクを外すことすら、多くの人にとって心配事のひとつとなりました。

一方、台湾でもっとも有名な夜市文化も、新型コロナウイルスの被害者になってしまいました。収入が減って生活が成り立たなくなった店主も多く、現在政府は補助金の経済政策を検討しているようです。

台湾政府は2週間(5/14~5/28)を乗り切ることを国民に訴えており、それまでは家にいることが求められているため、ほとんどの人が約2週間分の食料を用意し、家を出ていません。

⑤近況について、ご自由にお書きください。

今年4月末からの爆発的なコロナ感染拡大後、多くの台湾人がSNSで「台湾人は2週間で危機を解決できることを世界に見せつける」と発言していますが、私はナンセンスだと思っています。ウイルスが都会に入り込むと、長期戦になるはずです。 早くワクチンの接種が普及する日が来ることを願うばかりですね。


メリー・ジェーン:台湾在住のアプリマーケター。