遅ればせながらの課題添削

早いもので、リベル書籍翻訳セミナー「フィクション編」が終わってから3か月あまり。
セミナー後に課題添削を希望された、たくさんの受講者から6月に課題訳文が送られてきました。

英語をはじめ合計6言語。
社内外の各言語の翻訳者に添削を依頼し、すべての訳文に山本がもう一度目をとおし、講評をつけました。ようやく全員に戻せました。
課題提出者のみなさま、戻すのが遅くなり、申し訳ありませんでした!

どの言語も課題は原文で1~2ページ。
正直、言語ごとに課題は同じなのでサクッと見られるだろうと思っていたのですが、どうしてどうして、思ったよりずっと時間がかかってしまいました。

というのも、同じ課題でも、翻訳者によって文体も違えば、訳し方もそれはそれはさまざま。
当然、添削ポイントも人それぞれです。

文法的見落とし(緻密に緻密に!)
代名詞の取り違え(前後の文脈考えて!)
慣用句に気づけない(文字通り訳しておかしくない?)
ニュアンスがつかめていない(読者がそこで立ち止まりませんか?)

といった原文の解釈の問題もあれば、

原文に忠実すぎる直訳調(うう、まわりくどいです)
原文にないことを書き込んでいる(そこまでは書いてありませんが……)
過去形の羅列で単調に(現在形を取り入れてみては?)
会話が不自然(そんな話し方しませんよね?)
文章の流れが悪い(接続詞を補ってみて!)
訳語の選択(その言葉だけ浮いてません?/日本の読者がパッとわかる?/あ、それ、今は使えない言葉です……)
漢字かなづかい(新聞だったらひらがなでは?)
不要な言葉(ブログの「不要な言葉」シリーズ、好評だったのに中断していてすみません! まもなく再開します)

などなど、日本語の問題もたくさんあります。

さらには、

改行
字下げ
「 」の使い方
?や!のあとの全角アキ……

といった原稿の共通ルールの問題。

そしてもちろん

誤字脱字

などのケアレスミス。

ああ、こういう点さえ克服すればぐっとよくなるのに、という訳文がとても多かったです。
今回の添削や講評がみなさまの今後の翻訳に少しでも役立つこと願っています。

反対に、「うまいなあ!」「おっ、そう来たかあ」とこちらが感心する訳文にも何度も出会い、添削する側もとても勉強になりました。
実際、今回の課題をみて、翻訳やリーディングをお願いしようと思った方が何人もいました(実際にお願いした方も……)。

課題もそうですが、
フィクション編の受講者で弊社への登録希望された多数の方にトライアルをしていただき、すでにここ3カ月で10人以上の方に仕事を依頼しました。
それまで訳書をおもちでなかった方も、5人が単独訳や共訳でデビューされます。

いよいよ9月からは「ノンフィクション編」が始まります。
受講者のみなさまには「フィクション編」以上に充実したプログラムを提供すると同時に、ノンフィクション編もまた、たくさんの優秀な翻訳者さんに出会える機会となりますように!

(Y)