コロナ終息に向けて:各国レポート第四弾(1)ドイツ

ドイツ(人口約8302万人)

長谷川圭

①現在(執筆時)の新型コロナウイルスの感染状況について教えてください。

今年(2022年)に入ってから2月半ばまでは小康状態にあったのですが、その後感染者数がまた上昇を始め、3月半ばの時点で連日のように過去最高の新規感染者数を記録しています。ただし、オミクロンが主流なので、重症化するケースはあまり多くありません。

②現在の生活のなかで、コロナウイルス関連で規制や制限されていること、義務付けられていること、支援されていることなどはありますか?

3月20日に全国共通のコロナ関連規制は撤廃され、企業や公共施設における陰性証明・接種証明の提示義務などはなくなりました。病院や介護施設、あるいは公共交通機関では、今後もマスクの着用が義務づけられています。

ただし、感染者数が過去最高を記録している状況での規制撤廃には、さまざまな方向から異論が噴出しています。実際、4月2日までは移行期間ということで国内の各州が自己裁量で規制を続けることが認められているのですが、すべての州が基本的に規制の維持を選んだそうです。それでも政府が全国共通の規制の撤廃に踏み切ったのは、連立政権に参加している自由民主党(FDP)が経済優先の政策を是とし、規制の撤廃に固執したからだと言われています。政府は連立を維持するために、自由民主党のゴリ押しに屈した形になります。

③ワクチン接種については、どのような現状ですか? 

3月20日の時点で人口の58.2%が3回目のワクチン接種を済ませています。2回摂取した人は人口の75.8%です。ファイザー/ビオンテックなどのmRNAワクチンとは性質の違うノババックスのワクチン(組み換えタンパクワクチン)が承認され、摂取が可能となったことで、これまでためらっていた人も接種するはずだと期待されたのですが、実際には接種率はほとんど増えなかったようです。つまり、いまだにワクチンを接種しておらず、かつ持病のない人たちは今後も摂取するつもりがないと考えられ、数字はしばらく前から横ばい状態です。

④近況や思い、今後の見通しなど、ご自由にお書きください。

ワクチンの接種人口がこれ以上増えないこと、重症化が少ないことなどを理由に、出口戦略として規制の撤廃が始まりましたが、感染者数はいまだに増えていますので、状況は予断を許しませんし、不透明でもあります。たとえば、これまで感染者には10日の自主隔離が義務づけられていましたが、4月2日以降どうするかは、これから各州がそれぞれ決めることになります。また、クラスターが発生したときにも、各州がそれぞれの判断で規制を厳しくすることもできます。結局、国内の地域によってできることとできないことが異なってくると考えられ、しばらくのあいだは混乱が続くものと予想されます。


長谷川圭(はせがわ・けい):ドイツ語・英語翻訳家、日本語教師。ドイツ・チューリンゲン州イエナ在住