コロナ終息に向けて:各国レポート第四弾(3)スウェーデン

スウェーデン(人口約1023万人)

久山葉子

①現在(執筆時)の新型コロナウイルスの感染状況について教えてください。

スウェーデンでは2022年4月から新型コロナ感染症は「一般に危険な病気」の指定から外されたことで、実質上、パンデミック終了宣言が出されました。

日常生活における規制はすでに2月9日の時点でなくなっていて、人々はとっくに元の生活に戻っています。ただその時点ではまだまだオミクロンにかかる人が多かったので規制が完全になくなることに懸念の声もありましたが、その後、新規感染者は順調に減っています。さらには2月末からウクライナ侵攻が始まり、新型コロナのことは忘れられたも同然の状態です。

②現在の生活のなかで、コロナウイルス関連で規制や制限されていること、義務付けられていること、支援されていることなどはありますか?

マスク着用の義務は、いちばん感染がひどかった時期のみで、そのときも「ラッシュ時の公共交通機関内のみ」「店内のみ」と非常に限られていました。現在はコロナ関連の規制はまったくありませんが、ワクチン2回目未接種の12歳以上および3回目未接種の15歳以上に対して「ワクチンを早く打つように」と勧める公共広告は今でも目にします。

③ワクチン接種については、どのような現状ですか?

12歳以上で2回目を受けた人が約85%です。たいていの人は3回目も打ち終わっています。この冬の一時期だけ、大きなイベントではワクチンパスの導入義務があったのですが、その時期はオミクロンが感染拡大していてイベント自体があまり開催されていなかったので、実際にワクチンパスをチェックされることはほぼなかったと思います。スウェーデンでは、それ以外にはワクチン非接種者に圧力をかけるために何かを制限するということは一切ありませんでした。そういう状況にもかかわらず、接種率は悪くないほうだと思います。普段から科学的根拠に基づいて考える教育が徹底していることと、政府への信頼が厚いことによるものだと思います。

④近況や思い、今後の見通しなど、ご自由にお書きください。

第一波の頃は、スウェーデンの緩いコロナ政策が世界中の人々の目を引き、海外では「集団免疫獲得を目指している」という報道をされたほどですが、それを目指していたわけではまったくありませんでした。「医療崩壊を絶対に起こさない範囲内で日常を守る」というスタンスを貫き、ヨーロッパではスウェーデン一国だけが義務教育に当たる学校を休校にはしませんでした。当初は大きな批判を浴びながらも、結果的に「子供は感染を広めない」という科学的根拠に基づいて動いた公衆衛生局と政府への信頼度は国内では非常に高くなりました。パンデミックが終わった今、国の対応には概して満足を感じているという国民が多いと思います。もちろん細かい点ではもっといい対応ができたはずだという意見も否定できませんが。

私が教師をしている高校で2021年12月に撮影、Twitterでバズった動画をご紹介します。これを見ていただいても、誰もマスクをしていなくて普段通りだったのがわかると思います。

https://twitter.com/yokokuyama/status/1466448102081114115


久山葉子(くやま・ようこ):翻訳家、エッセイスト、日本語教師。スウェーデン中部のスンツヴァル在住