コロナ終息に向けて:各国レポート第四弾(10)イギリス

イギリス(人口約6665万人)

アレクサンダー・ペイトン

①現在(執筆時)の新型コロナウイルスの感染状況について教えてください。

イギリスでは、昨年末(2021年)まで新型コロナウイルスの勢力も比較的落ちつきをみせていましたが、オミクロン株の流行に伴い、感染者が急激に増えました。その拡大を食い止めるために、12月に「プランB」が発令され、公共の場でのマスク着用や、大規模イベントでのCOVIDパスポート(*)の提示などが義務づけられました。その効果もあり、再び落ちつきを取り戻し、現在は、すべての規制が取り除かれ、ほぼ通常の生活ができるようになりました。大規模イベント等も実施されるようになり、マスク着用の義務もなくなりました。しかし、周りを見渡すと、身近な人にも、やはり罹患者はいるというのが実状です。

(*)COVIDパスポート…2回のワクチン接種証明書、もしくは直近に受けた検査での陰性証明書

新規感染者数の推移

②現在の生活のなかで、コロナウイルス関連で規制や制限されていること、義務付けられていること、支援されていることなどはありますか?

イングランドでは、新型コロナウイルス対策のすべての規制が、2月末に撤廃されました。マスク着用の習慣が全くなかったイギリス人ですが、スーパーマーケットなどに行くと、今まで通りマスクをしている人もそれなりにいます。それぞれ個人で予防しようという意識は残っています。政府もワクチン接種、屋内の換気、こまめな手洗いや消毒、マスク着用等を呼びかけています。規制はなくなりましたが、今でもお店の入り口には、消毒液等が置かれていますし、ほとんどの店員さんはシールドやマスクを着用しています。

お店の前に設置されている消毒液とガイダンス

ウイルス検査で陽性反応が出た人も自主隔離する必要はなくなりましたが、大人は5日間、子供は3日間、自主待機をするよう、また、他人との接触を避けるよう勧告されています。 一方、スコットランドでは、いまだにマスク着用義務、可能な限り在宅業務を行うというルールは継続中です。

テイトモダン美術館内(ロンドン)

③ワクチン接種については、どのような現状ですか?

イギリスでは12歳以上の78%強が1回目の接種を、73%が2回目を、57%が3回目の接種を終えています。病院から連絡が入り、オンラインで、近い会場での接種を予約ができるので便利です。学生は接種会場に行かずとも、学校から集団接種ができる日程が伝えられ、希望者は学校での接種も可能なので、比較的容易にワクチン接種を受けることができます。

イングランド北部の街リーズ

④近況や思い、今後の見通しなど、ご自由にお書きください。

政府から「COVIDと共に生きる」という指針が発表され、規制等も解かれたこともあり、コロナに感染するのはインフルエンザにかかるのと同様ではないかという感覚になってきました。この3年間、隔離や施設閉鎖等で、国民全体が様々な強制を強いられてきましたが、その中でも子供たちは一番の被害者のような気がします。学校の研修旅行や、記念イベントなどすべてがキャンセルされ、友達と楽しめたであろう学校行事を体験することができなかったのは、青春の一ページが奪われてしまったようで本当に残念に思います。今は元の生活に戻りつつあるので、コロナとうまく共存しながら、早く安心して暮らせるようになることを祈っています。

春を迎えたコッツウォルズ

アレクサンダー・ペイトン:英日翻訳者。イギリス・コッツウォルズ在住