コロナ終息に向けて:各国レポート第四弾(2)台湾

台湾(人口約2357万人)

メリー・ジェーン

①現在(執筆時)の新型コロナウイルスの感染状況について教えてください。

コロナが流行りはじめてからすでに2年経ちますが、台湾は一度もコロナに負けたことはなく、これまでの累計感染者数は2万人弱。ラッキーというより、台湾人の警戒心が強いことの結果だと思います。もちろん、2年の間に何度も、いくつかのコミュニティでクラスターが起きそうなこともありましたが、結局すべて無事に乗り越えてきました。

現在、毎日の新規感染者数は10人から50人程度で推移しています。感染者の多くは海外からの労働者とみなされています。国内の感染者が少ないために、海外でよく耳にする「コロナ差別」の状況は、台湾はありませんでした。

②現在の生活のなかで、コロナウイルス関連で規制や制限されていること、義務付けられていること、支援されていることなどはありますか?

台湾では、他の国々と同様、感染拡大予防に関する規制が徐々に緩和されてきています。これまでは、複数人が一緒に写真を撮るときにもマスクの着用が必要でしたが、このルールはつい最近、解除されました。また、新幹線や電車などでの飲食禁止の規制も緩和され、現在は列車内で自由に飲食ができるようになりました。

ただ、規制が緩和されたとはいえ、街の中では今でもほとんどの人が常にマスクをしています。室外でのマスク着用は義務ではなく、違反した場合の罰金もありませんが、みんな、自分や家族のために常にマスクをしているようです。現在は、ジムで運動するときでも、三密の環境でない限りマスクを着用する必要はありません。なんの運動のときでもマスクをつけている私にとっては、マスクを外して運動することには少し違和感を感じています(笑)

また、通勤通学をするときも、ほぼ以前の日常に戻っています。国内の生活はもとに戻りましたが、海外から帰国する人や台湾に入国する外国人の隔離に関する規制は厳しく、2年以上帰国していない人も少なくないようです。

隔離の日数は14日間から10日間に短縮されました。しかし、隔離期間に滞在する建物は政府の規定に満たないといけません(例えば、シャワー付きの個室があること、一戸建てであることなど)。ほとんどの家はこういった規定に満たないため、やはり政府の指定したホテルに泊まることになります。そうすると、約2週間のホテル代や食費、PRC検査代など合わせて15万円以上も自己負担になることもあります。さらに、ホテルでの10日間の隔離を終了したあとに自宅での7日間の待機も必要です。ルールを破った人は罰せられる可能性もあるので、隔離期間中に勝手に家を出る人はほぼいません。

今年の2月には、旧正月で多くの海外在住者が台湾に帰省しましたが、やはり隔離期間中に何度も行われるPCR検査や厳しい隔離制度が煩わしいようで、大変だったという声が多かったです。 また最近、韓国で感染爆発が発生したため、現在では韓国から入国する人はより厳しいルールで管理されています。

③ワクチン接種については、どのような現状ですか?

昨年、台湾は深刻なワクチン不足に直面し、当時は日本を含めた諸外国から、アストラゼネカのワクチンを多く寄付されました。現在、台湾には十分なワクチンがあります。アストラゼネカとモデルナやファイザーなどとを相互接種することによってより効果的になると言われています。また、日本と異なり、2回目と3回目の間隔は6か月ではなく、3か月です。その結果、現在、台湾では3回目の接種率が50%と、日本よりも高いです。

④近況や思い、今後の見通しなど、ご自由にお書きください。

私だけでなく、ほとんどの台湾人が隔離解除を心待ちにしていると思います。現在、東南アジアやヨーロッパの一部の国では、コロナに対する水際対策が解除され、ワクチン接種の証明さえあれば、隔離されずに入国できるようになっています。台湾は狭い島国で観光地が少ないため、多くの台湾人は水際対策の緩和を期待しています。最近、ついに海外旅行が再びできるようになりましたが、帰国する際にはやはり隔離が義務づけられるので、海外旅行をまだ我慢している国民は多いだろうと思います。今年後半には、海外在住の国民が隔離せずに帰国できるよう、また、私たちも再び海外旅行ができるようになることを願っています。

台湾第四弾
現在の台湾市内のようす

メリー・ジェーン:台湾在住のアプリマーケター