コロナ終息に向けて:各国レポート第二弾(23)ポーランド

poland

ポーランド(人口約3,839万人)

岩澤葵

①新型コロナウイルス感染状況について、いまはどうなっていますか?

感染者数は未だ減少することなく、現在、一日に500人前後の新規感染例が報告されています。5月末から6月にかけて感染者数がやや落ち着いていたこともあり、規制解除が進みました。屋内施設でのマスク着用、1.5メートルのソーシャルディスタンスの確保等の規制はあるものの、街は日常の様子を急速に取り戻しました。バカンスシーズンの7月には、規制解除に喜ぶ人たちで溢れ、パンデミックなどまるでなかったかのように感じてしまう自分さえいました。しかし、こうした人びとの気の緩みから感染は再び緩やかに拡がり、第二波がやってきました。8月の半ばには800人を超える感染者が発表される日がたびたびあり、過去最悪の事態となりました。

私は7月の半ばに一時帰国して日本からポーランドの様子を見守っていましたが、感染者の数だけを見ても、日本と比べて状況が深刻なのは明らかです。

②国や自治体からの規制や制限はありますか?

7月3日からポーランドへの入国が可能な対象者が増え、他国と行き来する人が一気に増加しました。日本を含む7か国および、EU域内からの入国後の隔離措置が免除となりました。これは、旅行などを目的とする短期滞在も通常通り可能ということで、街には一気に観光客が増えました。

しかし第二波到来の影響により、現在は44か国の指定国空港発の航空便がポーランドへの着陸禁止。およびロシア、ベラルーシなど、一部の国からの入国後の隔離措置が再開しています。また保健省は感染予防措置のため、地域ごとに赤、黄、青ゾーンに制限のレベルを分け、行動制限を強化しています。制限は主に大人数が集まる施設やイベントなどに関する内容です。

③国や自治体からどんな援助がありましたか? あるいはありますか?

私が在学するアカデミーでは、申請すれば在学期間を1か月延長することが可能です。主に、卒業演習のリサイタルと論文の提出がある生徒に対する措置です。私はこれに該当するマスター2年生にあたるため、申請し、現在も在学しています。2019~2020のゼメスターの試験は、オンラインではありますが、例年通りの日程で行われました。授業はオンラインに移行しロックダウン後も継続されていましたが、集団演習や対面でのレッスンといった実技科目に重きが置かれる音楽アカデミーではほとんど意味をなさなかったと言っていいでしょう。

④日常生活や街の様子など、とくに前回のレポート時から変わったことがあれば教えてください。

日本と比べて人びとの感染に対する危険意識は非常に低いように感じられます。スーパーやショッピングモールに入店する際にマスクはするものの、街中で移動する際などは着用しておらず、みんなマスク着用を形式的に行っているように見受けられます。屋内に入る際にのみマスクを着用するという習慣がこの数か月で人びとに浸透したようです。それ以外は、ポーランドの人たちは今までとあまり変わりない生活を送っているのではないでしょうか。もちろん、リモートワークなどが定着しているようには見られますが、街での暮らしに関しては、私が目にする部分はパンデミック前と変わらない穏やかな景色です。

⑤近況について、ご自由にお書きください。

本来ならば7月に留学を終了して完全帰国する予定でしたが、再びポーランドに帰ってきました。予定していたヨーロッパでのオーケストラの就職活動が一番の目的ですが、これからも予定どおり行動できるかはわかりません。他の職業もそうでしょうが、音楽家も今、非常に厳しい状況です。今後も続くであろうこの状況に対して柔軟な気持ちを持ちつつ、ヨーロッパでの活動を諦めずに続けて行きたいと考えています。


 岩澤葵(いわさわ・あおい):クラリネット奏者。ポーランド・ヴロツワフ在住。ヴロツワフ音楽院修士課程在学中。